経済産業省やエアコンメーカーなどが今年4月、「早めのエアコン試運転を」と呼びかけたことが話題となった。シャープの公式Twitterは4月末、〈今年どころかずっと前からエアコンをお使いのご家庭へ、エアコンの試運転をしておかないと真夏の修理待ちで詰みます。買い替えでも在庫なしで詰みます。買えても設置待ちで詰みます。あわせて実家のエアコンも試運転。冷房18度で10分〉とツイート。「詰みます」という言葉を3回も使って、試運転を促した。
6月21日に気象庁が発表した3か月予報(7~9月)によると、梅雨明けから一気に気温が上昇し、全国的に暑さが続くという。猛暑の中、エアコンが使えないという状況になれば命に関わる。
今年5月に「早めのエアコン試運転を」と呼びかけた独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の担当者が言う。
「当機構では本格的な夏季を迎える前のエアコン試運転を推奨・喚起しています。猛暑日を迎えて初めてつけた時に故障が判明しても、業者は新規設置や修理依頼ですでに手一杯のことが多い。それでは、その後も続くであろう猛暑に間に合わせることができません」
そうした状況に追い討ちをかけるのが、エアコン本体の品不足だ。東京都調布市で電気店を営む渡邊東氏(アタックマルオデンキ代表)が言う。
「4月からエアコンの品薄が顕著になり、現在も入荷が不安定な状況が続いています。新規に注文をいただいても設置できるまで1~2か月はかかるでしょう。設置を外注している大手量販店などの場合はさらに時間がかかり、設置が夏の猛暑に間に合わないケースもあるようです」
近年は毎年のようにエアコンの品薄が話題になるが、なぜなのか。第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏はこう言う。
「現在のエアコン品薄は世界的な半導体不足に加え、中国・上海のロックダウンによる生産工場の操業停止などが主な要因となっています」