首位・ヤクルトに大きく突き放されている巨人。その中で不動の4番・岡本和真のはたらきはどうだろうか。今季は好不調の波が激しいが、75試合出場で20本塁打、59打点をマーク。自身初の40本塁打も十分に狙える成績だが、6月に月間14本塁打をマークするなど「令和初の三冠王」を狙えるヤクルトの4番・村上宗隆に比べるとどうしても影が薄くなってしまう。スポーツ紙の遊軍記者は「岡本と村上のプレースタイルの違いも影響している」と指摘する。
「村上は闘志むき出しでベンチでも常に声を出している。主将は山田哲人ですが、周囲を鼓舞する姿勢を含めて村上がチームリーダーになりつつある。一方で、岡本は穏やかな性格でマイペース。ナインを引っ張るタイプではない。ガツガツした感じがしないので、チームが低空飛行の時は物足りなく感じてしまう。岡本の状態は決して悪くないのですが、今年は村上に本塁打、打点で差をつけられて、巨人もヤクルトの首位独走を許している。4番打者に対する風当たりが強くなるのは宿命ですね」
長嶋茂雄(現巨人終身名誉監督)、王貞治(現ソフトバンク球団会長)、原辰徳(現巨人監督)、松井秀喜(現ヤンキースGM特別アドバイザー)と「巨人の4番打者」の華やかな系譜を引き継ぐのが岡本だ。高卒4年目の2018年に打率.309、33本塁打、100打点をマーク。史上最年少で「3割・30本塁打・100打点」を達成すると、2020、2021年と本塁打と打点の二冠王を2年連続で達成。王貞治以来球団史上2人目の快挙だった。広角に本塁打を飛ばせるパワーと打撃技術は球界屈指。5月29日の日本ハム戦で通算150本塁打に到達した。634試合出場での達成は巨人の日本人選手で最速記録だ。
25歳の若さでこれだけの実績を打ち立てているにもかかわらず、昨年の東京五輪では侍ジャパンのメンバーから落選。今年のオールスターのファン投票(6月28日付)でもセリーグ三塁部門で、トップの村上の33万8433票に大きく差を開けられた2位で18万6638票。一方で打撃不振の中田翔が一塁手部門のトップで、24万3544票を集めている。巨人担当の番記者は「同じポジションに村上がいるので票が入らないかもしれないが、まさか中田より票数が少ないとは……。打撃だけではなく守備もうまいし良い選手なのですが、華がないんですかね」と首をかしげる。