マッキー、帰ってきてくれてありがとう! この夜に集まった大勢のファンたちは、そんな思いで1時間半以上も待ち続けていたのだろう。5月18日の埼玉県川口総合文化センター。昨年9月の活動再開後、初の全国ツアー2日目は、待ちわびていたファンの熱気に溢れていた。終演から、実に1時間40分が経ったころ。この日に53才の誕生日を迎えた主役の槇原敬之は、ようやく楽屋口から姿を現した。長蛇の列をなして待ち続けていたファンに向かって、両手を振って何度も「ありがとう!」と声をかける。何があっても付いてきてくれているありがたみをかみしめながら、車に乗り込み走り去った。
覚醒剤取締法違反容疑で2度目の逮捕をされたのは、日本が本格的なコロナ禍に入る直前の2020年2月だった。その21年前の1999年8月。すでにミリオンセラーの超トップアーティストだった30才のときに初めて逮捕されて、懲役1年6か月、執行猶予3年の判決を受けていた。
その後は、2003年にSMAPの国民的大ヒット曲となった『世界に一つだけの花』を制作。再び表舞台で実績を積み直して、2007年には16年ぶりにNHK紅白歌合戦にもカムバックするなど、“禊”は済んだとみなされていた。それなのに50才を超えての再犯。初犯から長期間が経っていて実刑こそ免れたが、都内の湾岸署からの保釈時には、白髪交じりのボーボーのあごヒゲとボロボロの歯で報道陣の前に登場し、世間に大きなショックを与えた。
ある芸能関係者は「二度と復帰ができないのではと思わせるほどの姿でした。間違いなく、初犯時以上にダメージは大きく、イメージは地の底にまで落ちてしまいました」と振り返る。
そんなどん底からの再復活だけに、この夜のライブでは、本人とファンの間に重い雰囲気も漂っていたという。見送りまでした50代女性ファンは「MCでは、マッキーが『みなさんに、胸を張って槇原のファンだと言えなくさせてしまったこと、本当に……ごめんなさい!』と頭を下げられまして。会場には泣き出すお客さんもいました」と明かした。