「イヤイヤ感」「やらされてる感」「サラリーマン感」……時に“性悪”を隠そうともしない態度までもが視聴者に大ウケのTBSの安住紳一郎アナウンサー(48)。毒づくほど視聴者のみならず共演者も喜ぶという、奇妙な才能を持つ男の素顔を解き明かす。【全3回の第1回】
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ビートたけし、中居正広ら大物芸能人や、泉ピン子、高畑淳子などの“くせもの女優”にも物おじせずに毒舌を吐きながらも、高いプロ意識の窺える番組進行管理と両立させて皆に愛されるTBSの安住紳一郎アナウンサー。
昨年10月からは朝の情報番組『THE TIME,』総合司会を務め、いまやTBSの“朝の顔”になっている。
2006年に始まったオリコンの「好きな男性アナウンサーランキング」では第1回から5回連続で1位になり(2008年は2回実施)、2009年には「殿堂入り」を果たすなど、視聴者からも抜群の人気を誇っている。
その魅力の源は、いったいどこにあるのか。
安住アナは1973年、北海道帯広市に生まれた。上京の理由は、ドラマ『北の国から』(フジテレビ系)の影響だったという。自著『局アナ 安住紳一郎』でこう明かしている。
〈富良野はウチからわりと近かったから、純くんと自分を重ね合わせて見ていたんですね(中略)れいちゃん(編集部注・横山めぐみ演じる大里れい)が「東京に行きゃあいいじゃない!」てなことを言う。それまで純くんはそんなこと考えたこともなくて、田舎でささやかな楽しみを紡いで生きていこうとしていた。なのに、楽しくて楽しくてゴーゴーって感じのれいちゃんが「私は行くわ。東京に」って。それ聞いて「あっ、俺も行っちゃお~」と東京に来た〉
明治大学文学部に入学し、在学中は後に『情報7daysニュースキャスター』で共演する齋藤孝氏のゼミナールに所属していた。齋藤氏は、まだ学生だった安住アナの「才能」に目を見張ったという。
「学生時代から、天才的なしゃべりでしたよ。意味のあることを高速でしゃべり続けることができる、稀なる才能を持った学生でした。頭の回転が非常に速く、面白いことをパッと言えるのは、学生の頃も今も変わっていません。次から次へと適切な語彙が選択され、自分の経験、エピソード、情報を話の文脈のなかに即座に入れることができるんです。
そうした瞬発力の素晴らしさだけではなく、その場に合ったしゃべり方ができるのも、彼の話す技術の高さを示している。“ケガを恐れずジョークをいう勇気”というものが、彼の話す技術にはある」
在学中に中学・高校の国語科の教員免許を取得し、教育実習も終えて就職する高校も決まっていたが、たまたまアナウンサー募集のポスターを目にして、民放各社を「記念受験」。唯一合格したのがTBSだった。