国内

【プーチンと習近平】世界でもっとも危険なふたり 習近平が“籠絡”されたプーチンからのプレゼント

二人の緊密な関係は、2013年から

二人の緊密な関係は、2013年から

【プーチンと習近平・連載第2回】二人の緊密な関係は、2013年にプーチンが習近平にサプライズで手渡した“あるもの”から始まった。ジャーナリスト・峯村健司氏がレポートする。(文中敬称略。第1回から読む)

 * * *

「我々二人はとても似ている」

 2013年3月22日、モスクワ中心部のクレムリン(大統領府)。わずか1週間前に国家主席になったばかりの習近平は、少し硬い表情で控室に入った。この日のネクタイの色は青。重要な会談や演説の時に習が好んで結ぶことが多い「勝負ネクタイ」だった。

 遅れて入室してきたロシア大統領のウラジミール・プーチンと両手で握手をすると、習は満面の笑みで、こう語りかけた。

「我々二人はとても似ていると思う」

 同行していた中国政府関係者は、習が発した突然の言葉に驚いた。

「あらかじめ用意した文言ではありませんでした。『似ている』とおっしゃった意味がよくわかりません。二人の性格なのか、政治スタイルなのか、戦略観なのか。随行者の間でも分析は分かれました。ただ普段は言葉数が少ない習主席が、こみ上げる喜びを抑えるように語りかける姿が印象的でした」

 これに対して、プーチンはどのような受け答えをしたのだろうか。先の中国政府関係者は続ける

「プーチン大統領は最初、無表情でした。習主席が『似ている』とおっしゃった真意を測りかねているように見えました。しかし、プーチン氏はあいさつが終わって、会見場に向かう廊下を歩いている時には、機嫌がよさそうにほほえんでいました。それは、首脳会談などで、思い通りに進んでいる時に浮かべる不敵な笑みでした」

 この証言を裏付けるように、プーチンは会談では饒舌に語りだした。習が初外遊先としてロシアを選んだことについて「両国関係を重視する互いの姿勢と関係の特殊性を示している」と評価した。そしてこう続けた。

「明日、あなたのために特別なイベントをセットした。私たちからのプレゼントも用意している。きっと喜んでくれると思う」

 翌23日夜、訪問の全行程を終えた習は、プーチンに告げられたモスクワ市内の会場に向かった。そこで待っていたのは、12人の中国専門のロシアのシンクタンク研究者たちだった。一人の初老の女性が習に歩み寄り、白黒の写真がとじられたアルバムを手渡した。

 このアルバムには、習の父、習仲勲が副総理になったばかりの1959年、ソ連を訪れた時の写真が集められていた。習仲勲はソ連の先進的な工業技術を学ぶため、機械製造や金属加工の工場などを視察した。帰国後は、中国で工場の建設や技術の指導を受けるため、ソ連から技術者を招く事業の取り仕切った。

 この老人は当時、習仲勲の訪問に同行した通訳だった。それを知った習近平は老人の手を握り、何度も振りながら、こう感嘆した。

「これは天意だ」

 プーチンが用意したサプライズの演出に、習が“籠絡”された瞬間だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

アメリカの実業家主催のパーティーに参加された三笠宮瑶子さま。写っている写真が物議を醸している(時事通信フォト)
【米実業家が「インスタ投稿」を削除】三笠宮瑶子さまに海外メーカーのサングラス“アンバサダー就任”騒動 宮内庁は「御就任されているとは承知していない」
NEWSポストセブン
11月に不倫が報じられ、役職停止となった国民民主党の玉木雄一郎代表、相手のタレントは小泉みゆき(左・時事通信フォト、右・ブログより)
《国民・玉木代表が役職停止処分》お相手の元グラドル・小泉みゆき「連絡は取れているんですが…」観光大使つとめる高松市が答えた“意外な現状”
NEWSポストセブン
10月末に行なわれたデモ。参加者は新撰組の衣装に扮し、横断幕を掲げた。巨大なデコトラックも動員
《男性向けサービスの特殊浴場店が暴力団にNO!》「無法地帯」茨城の歓楽街で「新撰組コスプレ暴排デモ」が行なわれた真相
NEWSポストセブン
秋田県ではクマの出没について注意喚起している(同県HPより)
「クマにお歌を教えてあげたよ」秋田県で人身被害が拡大…背景にあった獣と共存してきた山間集落の消滅
NEWSポストセブン
姜卓君被告(本人SNSより)。右は現在の靖国神社
《靖国神社にトイレの落書き》日本在住の中国人被告(29)は「処理水放出が許せなかった」と動機語るも…共犯者と「海鮮居酒屋で前夜祭」の“矛盾”
NEWSポストセブン
公選法違反で逮捕された田淵容疑者(左)。右は女性スタッフ
「猫耳のカチューシャはマストで」「ガンガンバズらせようよ」選挙法違反で逮捕の医師らが女性スタッフの前でノリノリで行なっていた“奇行”の数々 「クリニックの前に警察がいる」と慌てふためいて…【半ケツビラ配り】
NEWSポストセブン
「ホワイトハウス表敬訪問」問題で悩まされる大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平を悩ます、優勝チームの「ホワイトハウス表敬訪問」問題 トランプ氏と対面となれば辞退する同僚が続出か 外交問題に発展する最悪シナリオも
女性セブン
2025年にはデビュー40周年を控える磯野貴理子
《1円玉の小銭持ち歩く磯野貴理子》24歳年下元夫と暮らした「愛の巣」に今もこだわる理由、還暦直前に超高級マンションのローンを完済「いまは仕事もマイペースで幸せです」
NEWSポストセブン
医療機関から出てくるNumber_iの平野紫耀と神宮寺勇太
《走り続けた再デビューの1年》Number_i、仕事の間隙を縫って3人揃って医療機関へメンテナンス 徹底した体調管理のもと大忙しの年末へ
女性セブン
白鵬(右)の引退試合にも登場した甥のムンフイデレ(時事通信フォト)
元横綱・白鵬の宮城野親方 弟子のいじめ問題での部屋閉鎖が長引き“期待の甥っ子”ら新弟子候補たちは入門できず宙ぶらりん状態
週刊ポスト
大谷(時事通信フォト)のシーズンを支え続けた真美子夫人(AFLO)
《真美子さんのサポートも》大谷翔平の新通訳候補に急浮上した“新たな日本人女性”の存在「子育て経験」「犬」「バスケ」の共通点
NEWSポストセブン
自身のInstagramで離婚を発表した菊川怜
《離婚で好感度ダウンは過去のこと》資産400億円実業家と離婚の菊川怜もバラエティーで脚光浴びるのは確実か ママタレが離婚後も活躍する条件は「経済力と学歴」 
NEWSポストセブン