観測史上最速の梅雨明けが各地で続いている日本列島。これから夏本番となるが、楽しいことばかりではない。神奈川県に住む、主婦の横山洋美さん(58才・仮名)が嘆く。
「今年は暑くなるのが早すぎて、早朝に出勤する夫の朝食のために作ったおみそ汁が、お昼前にはもう酸っぱくなっていたんですよ。こうなると、主人が職場に持っていくお弁当も、出勤中に傷んでしまうのではないかと心配です」
連日、災害級の猛暑に見舞われ、食中毒が気になる。作ったものは、すばやく消費してしまうことが肝要だろう。しかし、店頭で売られる食品では逆のことが起きている。昨年10月、大手コンビニチェーンはサラダの消費期限を1日延ばしたと発表。それに先立つ昨年3月、別の大手コンビニチェーンが、おにぎりの消費期限の期間を2倍にし、店頭販売できる時間を約18時間から1日半〜2日程度に延ばしたというのだ。
世界的に注目が集まる「食品ロス」削減の一環としているが、家計を預かる主婦としては、素朴な疑問も浮かぶ。
「どうして食べ物の“寿命”が延ばせるのかなって思います。もしかして、合成保存料が、たっぷり入れられるようになったからでしょうか?」(横山さん)
まず、食品の期限には「消費期限」と「賞味期限」の2種類がある。消費者庁は消費期限を「過ぎたら食べない方がよい期限」、賞味期限を「おいしく食べることができる期限」としている。消費者問題研究所代表で、食品問題に詳しい垣田達哉さんが説明する。
「おおむね5日以内に消費されるものにつけられるのが『消費期限』で、さらに長い期間、日持ちするものにつけられるのが『賞味期限』です。ざっくり言うと、早く傷む方につけられるのが消費期限、日持ちするものが賞味期限と考えてください」
これらを総合して食品期限と呼ぶが、期限については製造業者側が定める。食品期限は、一般生菌数などを調べる『微生物試験』、においや触感、味わいなどの『官能検査』、そして粘り気や濁り、pH値(酸性かアルカリ性かを測定する値)などを測定する『理化学試験』の3つを総合して終期を割り出す。期限のゆとりをもたせるため、そこに1以下の安全係数を掛けて、食品期限が決定される。
国が推奨する安全係数の数値はもともと0.8以上1未満ではあったが、実際の運用上、企業は一般に0.6以上0.8以下の安全係数を使うケースが多かった。しかし、食品ロス問題により、安全係数を0.8に設定する企業が増えているという。
※女性セブン2022年7月21日号
◆2022年7月11日13:15、記事最終段落の安全係数に関する文章を訂正いたしました。