ともに沖縄出身のお笑いコンビ・スリムクラブの真栄田賢(46)と内間政成(46)。首里市内の近隣の高校に通っていた2人は、真栄田が一学年先輩に当たる。大学受験の際に内間が二浪、真栄田は三浪したことで、地元の名門・琉球大学で「同級生」として出逢う。地元の芸能事務所でそれぞれピン芸人として活動後に上京、2005年にコンビを結成。2010年の「M-1グランプリ」で活躍し芸人として一本立ちするが、2019年の闇営業騒動では活動自粛も経験した。紆余曲折を経た2人だが、彼らの芸風や考え方の根底には一貫して「沖縄人」として育ってきたパーソナリティーが色濃く反映されている。
6月29日発売の雑誌『Maybe!』のインタビューでは、沖縄で育った幼少期のことや5月15日に本土復帰50周年を迎えたいまもなお様々な問題を抱える沖縄への思いを明かしている。真栄田と内間の2人が、揃って沖縄への想いを語った。
戦争を体験した母は「悪夢で飛び起きた」
2010年12月、決勝で笑い飯に次ぐ準優勝に輝き、一躍スターダムに乗るきっかけとなった「M-1グランプリ2010」の舞台でも“沖縄色”の強い風刺ネタが話題を呼んだ。「なんとかならんかね~/民主党ですか?」と、沖縄の米軍基地を「最低でも県外」へ移設すると言いながら一向に実現できなかった当時の民主党政権に、大舞台で言及したのだ。
当時のことを真栄田はこう振り返る。
「あえて政治のことを言おうとは思ってなかったけど、民主党は『基地返還』を約束して政権を獲ったのに……という気持ちはもちろんありましたよ。政治的というよりは、地域性ですね。沖縄で育ったので悲哀は自然とネタに出てきます。『M-1』後は、沖縄の人から“よく言ってくれた”って喝采を浴びました。でも、例の闇営業で……(苦笑)」
そしてスリムクラブの漫才でこの真栄田のエッジの効いたボケをより際立たせるのが、内間の独特のリアクションにある。そこには、戦争を経験した厳しい母に教育された子供の頃の環境が影響しているという。内間はこう話す。
「演じる真栄田さんが普通にめっちゃ怖いから、素のリアクションです。もともとリアクションは苦手なんです。すごく厳しい母ちゃんに育てられたから、子供の頃から感情を出せなくて。でも真栄田さんが『気にするな。思ってることを言え』と言ってくれてから、少しずつ解放されました。お笑いをやることは一種のカウンセリングのようなものだったかもしれません。
母ちゃんは高齢出産で今年85歳ですが、戦争のトラウマがすごくて、悪夢で飛び起きて『でーじ(大変に)なってる!』ってよく取り乱していました。目の前で家族を亡くしたショックがまだ消えないんです」