巣ごもり生活から解放され、そろそろ旅に出てみたい人も多いだろう。そんな人におすすめなのが、今年40周年を迎える「青春18きっぷ」(以下、18きっぷ)を使った旅だ。
「目的地を決めずに旅ができる自由さが、このきっぷの醍醐味です。料金は1万2050円で5回(5日)使用できます。1日にすると2410円ですが、元を取ろうとするよりも、午前中に家を出て気の向くままに遠くへ向かい、午後になったら帰路につき、気になった駅で途中下車してあちこち観光しながら戻る。そんなシンプルな鉄道旅を楽しむのもいいですよ」
そう話すのは、『60歳からの青春18きっぷ入門』の著者・松本典久さんだ。
「ICきっぷが登場するまでは、目的地なしにきっぷは買えなかったので、1枚でぶらり旅ができる18きっぷは画期的でした。かつては夜行列車を利用して遠方へ旅に出たものですが、いまは夜行列車が姿を消し、その活用法も変化しています」(松本さん)
また、『女性のための鉄道旅行入門』の著者・蜂谷あす美さんは、今年は18きっぷの観光列車利用が注目だという。
「四国の『藍よしのがわトロッコ』は、観光要素が高いのに18きっぷと指定席券で乗れますし、新潟と庄内を結ぶ『海里』で弁当を予約すると、日本海を眺めながら食事できます。そんな優雅な活用法もあります」(蜂谷さん)
それでは、この夏おすすめの18きっぷを使ったプランを紹介しよう。
【1泊2日編】駅グランピング、観光列車、夕日名所に食べる楽しみつき
1泊2日程度の泊まりで出かけたい人には、漫画で鉄道旅と駅弁の魅力を伝え続けている、やすこーんさんが推奨する次の3プランがおすすめだ。
「1つめは、東京駅から高崎線と上越線を乗り継いで群馬県の土合駅に行ってグランピングをし、翌日、新潟県の越後湯沢駅でほろ酔いになって東京に戻る『お酒好き垂涎プラン』です」(やすこーんさん・以下同)
グランピング施設『DOAI VILLAGE』のある土合駅の駅舎内には駅務室を改装したカフェが、翌日行く越後湯沢駅構内には新潟の全酒蔵の代表銘柄の利き酒や酒風呂が楽しめる『ぽんしゅ館』がある。魚沼産コシヒカリの“爆弾おにぎり”も外せない。
「2つめは、新宿駅から山梨・信州で18きっぷ+指定席券で乗れるJRの観光列車を乗り継ぐプラン。小淵沢駅で乗り換える際は、駅弁『高原野菜とカツの弁当』(1100円)はぜひ食べたいところ。そこから高原を走る小海線の『ハイレール1375』、篠ノ井線の快速『ナイトビュー姨捨』と乗り継いで、翌日は長野駅〜十日町駅間を走る『おいこっと』にも18きっぷと指定席券で乗車可能。『ハイレール〜』の指定席料金は840円ですが、お一人様用にカウンターの一人席もあります。それに対し、快速『ナイトビュー〜』と『おいこっと』の指定席料金は530円。どの観光列車も眺望がとにかく素晴らしいんです」