安倍晋三・元首相が、参院選で応援に訪れていた奈良県で銃撃された事件。病院に緊急搬送され、懸命の治療を受けたが、死亡が確認された。
この事件を受けて自民党の高市早苗・政調会長は7月8日午後、「政治テロとして許せない。とにかく今は生きていただくことを願っている。絶対に許せない」と自民党本部で語った。残念ながらその願いは届かなかったが、高市氏にとって安倍氏は、総裁選への出馬を支援してくれた恩人であり、政界の師と仰ぐ人物だった。全国紙政治部記者が言う。
「高市さんはこの日、福岡で応援演説の予定でしたが、急きょ演説を中止し、東京にとんぼ返りしました。高市さんは総裁選に出馬する際にも、『本当は安倍さんにもう一度総理をやってほしいが、断わられたから代わりに出馬することにした』と公言するほどの信奉者でした。総裁選中も常に安倍さんの指示を仰いだ結果、大健闘して政調会長の座を射止めることができた。それだけに心痛は大きいはずです」
安倍氏は月刊誌『文藝春秋』2022年2月号の単独インタビューで、高市氏について〈真面目で勉強熱心なうえ、胆力もあります。有力な総理候補として国民の皆様に認識していただいた〉と称える一方、〈いささか真面目過ぎて、何でも自分で引き受けてしまうところが玉に瑕。総裁選の時も、テレビに出演してアピールすべきなのに、部屋にこもって細かい政策を練っていた〉と指摘してもいた。期待の表われゆえだろう。
奇しくも事件が起きたのは、高市氏の地元・奈良県だった。自民党奈良県連は、8日午後の会見で「演説は昨日夕方決まった」とし、「脅しみたいのはこれまでなかった」と語っていたが、県連には動揺が広がっている。
「奈良県連の会長は奥野信亮さんですが、高市さんは地元で絶大な人気を誇り、今や奈良といえば高市さんというイメージの有権者は多いはず。それだけに、高市さんが不在のなか、地元・奈良で安倍さんが撃たれたことは、本人としても痛恨の極みのはずです」(同前)
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