ビジネス

電力ひっ迫で節電の夏 まさかの大停電に地下鉄はどう備えるのか

電力需給の状況について説明する資源エネルギー庁の担当者。6月30日(時事通信フォト)

電力需給の状況について説明する資源エネルギー庁の担当者。6月30日(時事通信フォト)

 KDDIの大規模通信障害が起きたことで、携帯通話やスマホのデータ通信だけでなく、生活の様々なものごとが機能しなくなったことに驚かされた。これがもし、電力供給だったらと思うと、その影響はどれほどのものになるのか。ライターの小川裕夫氏が、東京の地下鉄による大規模停電への備えについてレポートする。

 * * *
 6月末から7月初旬にかけて、35度を上回る猛暑日が続いた。繰り返し熱中症への危険が叫ばれる一方、政府は電力需給が厳しくなっていることを理由に国民に節電を呼びかけた。

 特に電力需要の高い首都圏では、あちこちで節電への対応に追われている。工場は稼働していない機械の電源をこまめに切り、コンビニやスーパーといった商店では店内照明を暗くするなどで対応。また、政府は各家庭で電気の無駄遣いを減らしてもらおうと、節電ポイントなる還元策を検討中だ。

 節電に協力しても、前述したように熱中症のリスクからエアコンをオフにすることはできない。それと同様に、企業は経済活動を止めるわけにはいかず、その節電にも限界がある。

 鉄道会社も電気がなくては企業活動が成り立たない。電車が電気で走ることは言うまでもないが、駅などでも大量の電気を使用している。そのため、電力需要がオーバーして大規模停電が起きれば、鉄道各社は混乱し、事故のリスクは一気に高まる。

 とりわけ地下鉄は日が当たらない区間を走っているだけに、大規模停電が起きると乗客は真っ暗な闇へ放り出される。多くの乗客が一斉に暗闇の中に放り出される状況は、危険と言わざるを得ない。

「東京都交通局では、6月25日に新宿線で大規模停電が発生したと仮定した避難訓練を実施しました」と話すのは、東京都交通局総務部広報課の担当者だ。

 東京都交通局は、新宿線のほか浅草線・三田線・大江戸線の4路線を運行している。大規模停電が起きた場合、地下鉄に電気は供給されなくなる。当然ながら、停電時に電車を走らせることはできない。そのため、運転士や駅係員が乗客の避難誘導にあたる。しかし、新宿線だけは特殊な事情を抱える。

「新宿線の東大島駅―船堀駅間には、荒川と中川を渡る長大橋梁があります。この橋梁区間を通過中に停電が起きると、電車が橋の上に取り残されてしまいます。これは、乗客にとって危険な状況です。こうした状況になることを避けるため、新宿線には電力貯蔵施設を備えています」(同)

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン