シンガー・ソングライターの吉田拓郎(76)が“引退宣言”。1970年代に青春を過ごしたかつての若者たちはみんな、拓郎から大きな影響を受けていたのだ。
音楽評論家で尚美学園大学副学長の富澤一誠氏(71)は『今日までそして明日から』(1971年)で拓郎を知り、東大を中退。まさにこの1曲によって「人生が変わった」と話す。
「もともと歌手志望でしたが、長野の田舎から歌手になるには東京に出ないといけない。地元の進学校に通っていたので、東大を目指せば一石二鳥だと考えていました。
東大に在籍しながら歌謡学校に通いましたが、音程がうまくとれずに『これはダメだ』と早々に諦めた。ならば作詞家にと思いましたが、いい詞ができず、これもダメ。
大学に戻る気も起きずに遊び疲れていた大学2年の時、ラジオの深夜放送を聴いていたら、『今日までそして明日から』のワンフレーズが流れてきた。“この曲は今の俺のことを歌っている”と思いましたね。
当時は吉田拓郎という名前も知らず、友人に聞いて“どうやらフォークソングらしい”ということでレコードを買いに行きました」