それまでの日本では、殺人や傷害事件などの被害者や遺族は、刑事裁判を傍聴席で見守ることしかできなかった。しかしこの結果、2008年12月から日本の裁判に新しい制度が加わった。被告人に質問したり、証人に尋問したりすることができる被害者参加制度が始まったのだ。
被害者参加人は被害者参加弁護士の援助を受けることができ、経済的に余裕がない場合でも国が費用を負担する「被害者参加人のための国選弁護制度」も同時にスタート。安倍政権下では、こういった被害者を支援する関連法案が可決されていたのだ。
「被害者参加制度の法案は、殺人や強制性交等といった凶悪事件のご遺族が中心になって作ってきました。しかし、制度の対象には交通犯罪も含まれています。そして現在、交通犯罪被害者の利用者が圧倒的に多いのです」
参加するかしないかは被害者や遺族の自由だが、選択肢が与えられたことは大きい。現在、被害者参加制度は年間約1400名前後の利用数となっている。
15年前に安倍氏が、被害者を思い心を注いだ法案によって、今も救われている人々が確かにいるのだ。