どんなに憎く思おうとしても、安倍氏にとって昭恵さんは目が離せない憧れの存在であり続けた。
「慎重すぎるほど考える晋三さんにとって、あっけらかんとして人前でもまったく臆せず自分が思うことを主張できる昭恵さんは、まぶしい存在だったでしょう。政治家の厳しい家系に育った晋三さんは、昭恵さんの自由で破天荒なところにも大いに魅かれていました」(前出・安倍家の関係者)
安倍氏が烈火のごとく怒りを見せたのは、前出の森友問題における昭恵さんの証人喚問についてだった。
「当時、昭恵さんの証人喚問をすべきだとの声が高まりました。自民党の一部は喚問やむなしとの意見になったが、『昭恵の喚問を容認する奴は徹底的につぶす』と安倍さんは憤った。『奥さんに責任を負わせることが安倍さんのためだし、自民党のためだ』と周囲に諭されても、『もし昭恵の証人喚問が実現しようものなら、総理が衆院を解散する』なんて話もあり、まったく聞く耳を持たなかった。何をおいても昭恵さんを守り通すという気迫でした」(自民党関係者)
結局、昭恵さんの証人喚問は実現しなかった。一方で、昭恵さんもある思いを募らせていた。
「ひとりの人間として、信じる道を進むことを信条とする昭恵さんは森友問題の喧騒に嫌気が差し、“私が邪魔になるなら夫と別れてもいい”と思ったそうです。離婚というより卒婚でもいい。別々の人生を歩んだ方がお互いのためになるのではと強く感じていたんでしょう」(昭恵さんの知人)
それでもふたりが離れる選択をすることはなかった。
在任中、公私にわたるさまざまな話題を提供した安倍氏と昭恵さんだったが、安倍氏の首相退任後は政治活動のペースを落として、夫婦の時間を過ごしていた。今年3月には伊勢神宮を一緒に参拝し、笑顔のツーショットを昭恵さんのインスタグラムで披露した。また6月には「珊瑚婚式」となる35周年の夫婦生活を迎えた。
「6月9日には昭恵さんの還暦を祝う身内のパーティーが東京・八芳園で開かれました。予定を早めに切り上げて駆けつけた安倍さんは、パーティーでピアノを披露した。もともと少しピアノが弾けた安倍さんですが、この日のため特別に練習を重ねたそうです。離婚危機を乗り越え、壊れかけた夫婦関係も日に日に修復されているように見えました。昭恵さんは最近も『来世でもまた夫と結婚したい』と言うまでになっていたので……」(安倍夫妻の知人)
7月4日の朝には、自宅周辺で夫婦そろって愛犬のミニチュアダックスフントのロンちゃんを連れて散歩する姿も目撃されている。周囲にSPはおらず、のびのびとした雰囲気だったという。4日後に突然の別れが訪れることを、このときのふたりは知る由もなかった。
※女性セブン2022年7月28日号