国内

【真夜中の六本木60年史・前編】錚々たる文化人が集ったキャンティは「教室」だった

東京23区でも格差は広がる(時事通信フォト)

無名も有名も魅了され集まる六本木(時事通信フォト)

 夜、そこは妖しげに輝く繁華街に一変する。男女の欲望渦巻く「真夜中の六本木」。そこになぜ、人は吸い寄せられるのか──財界の重鎮も、第一線の人気芸能人も、そしてお金のない若者も、誰もが取りつかれてしまう魔力の源に迫る。【前後編の前編】

「土下座をして謝りなさい」。香川照之(56才)演じる外食企業グループの会長が、竹内涼真(29才)演じる主人公に土下座を迫る──7月7日にスタートしたドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)のワンシーンだ。

 このドラマはNetflixで人気の韓国ドラマ『梨泰院クラス』のリメイク版。絶望の淵に沈んだ主人公が復讐を誓い、巨大企業に立ち向かっていくストーリーだ。

 初回放送は平均世帯視聴率9.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)をマークし、「香川照之」がツイッターのトレンド入りした。

「香川さんが出演した『半沢直樹』(TBS系)の土下座要求シーンを思い出した人が多かった。実際の撮影現場ではアドリブ連発の香川さんに竹内さんが必死に食らいついていて、2人のかけ合いも見ものです」(テレビ誌記者)

 今回、テレ朝が特に力を入れているのが、タイトルにもある六本木での撮影だ。

「テレ朝はお膝元である六本木での撮影にこだわっているそうです。そもそも交通量が多くて撮影許可がなかなか下りにくいエリアなのに、しっかりロケをしている。これには他局も“このドラマはすごい”と密かにチェックしています」(前出・テレビ誌記者)

 にわかに注目を集める六本木。常に最先端を走り、人々を魅了してやまないエリアの栄華の裏側には60年にわたる人々の熱い交流があった。

キャンティは真夜中の教室だった

「この地に松の大樹が6本あった」
「青木や上杉など、木にちなんだ大名屋敷が6つあった」

 六本木という地名の由来には諸説がある。田畑の広がるのどかな地域だった六本木界隈は江戸時代に武家屋敷街として発展し、明治期には旧陸軍の施設が相次いで建築された。

 太平洋戦争で米軍の空襲によって焼け野原になり、戦後は米軍が旧陸軍の施設を接収した。周囲には米軍用のキャバレーやダンスホール、バーやレストランが立ち並び、かつての武家屋敷街は「アメリカの街」へと変貌した。

 しかし1958年に接収が終わり、翌年にテレビ朝日の前身である日本教育テレビが開局すると六本木は生まれ変わる。

「テレビ関係者や芸能人、そうした華やかな人々に憧れる若者たちがこぞって六本木に集うようになりました。何をするにもお金がかかる銀座と違い、六本木は若くてお金がなくてもセンスさえあれば、人と交流して楽しむことができた。この街に深夜までたむろする若者たちは、いつしか『六本木族』と呼ばれるようになりました」(ベテラン芸能記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
《アフターピル服用後…お守り代わりにナイフが欲しい》田村瑠奈被告、「手帳にハートマーク」「SMプレイの自主練」で待ち望んでいた“事件当日”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
綱取りに挑む琴櫻と豊昇龍
《波乱の初場所》角界を知り尽くす94歳相撲ジャーナリストが見通す「琴櫻と豊昇龍が横綱同時昇進する唯一の条件」
NEWSポストセブン
2件の暴行容疑で逮捕、起訴されていた石野勇太容疑者(32)。新たに性的暴行に関する証拠が見つかり、3度目の逮捕となった
《独自》「いい孫だったんですよ」女児に不同意性交、男児には“しょうゆ飲み罰ゲーム”…3度目逮捕の柔道教室塾長・石野勇太被告の祖母が語った人物像「最近、離婚したばかりで…」
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告
「ゴムつけなかっただけで…」田村瑠奈被告が襲った被害男性の「最後の言葉」視界、自由を奪われて…【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
狩野舞子
《元女子バレー狩野舞子》延期していた結婚発表のタイミング…大谷翔平との“匂わせ騒動”のなか育んだ桐山照史とステルス交際「5年間」
NEWSポストセブン
韓国籍の女子学生のユ・ジュヒョン容疑者(共同通信)と事件が起きた法政大学・多摩キャンパス(時事通信フォト)
【法政大学・韓国籍女子学生ハンマー暴行事件】「日本語が上手くなりたい。もっと話したい」容疑者がボランティアで見せていた留学生活の“苦悩”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
〈舌と食道まで…〉「お嬢さんの作品をご覧ください」田村瑠奈被告の父親裁判で明かされた戦慄の“切除現場”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
2025年初場所
初場所の向正面に「溜席の着物美人」登場! デヴィ夫人の右上に座った本人が語る「観客に女性が増えるのは相撲人気の高さの証」
NEWSポストセブン
ミャンマーとタイの国境沿いの様子(イメージ)
《「臓器売られる覚悟」「薬を盛られ意識が朦朧…」》タイ国境付近で“消える”日本人女性たち「森林で裸足のまま保護」
NEWSポストセブン
小室圭さん(左)と眞子さん(右)
小室眞子さんの“後見人”が明かすニューヨークでの生活と就活と挫折「小室さんは『なんでもいいから仕事を紹介してください』と言ってきた」
女性セブン
販売されていない「謎の薬」を購入している「フェイク動画」(instagramより。画像は一部編集部にて加工しています)
「こんな薬、売ってないよ?」韓国人女性が国内薬局「謎の薬」を紹介する“フェイク広告動画”が拡散 スギ薬局は「取り扱ったことない」「厳正に対処する」と警告
NEWSポストセブン
中居正広の女性トラブルで浮き上がる木村拓哉との不仲
【全文公開・後編】中居正広の女性トラブル浮き上がる木村拓哉との不仲ともう一つの顔 スマスマ現場では「中居のイジメに苛立った木村がボイコット」騒ぎも
女性セブン