国内

甲子園で起きている性被害【前編】「密着取材」の暗部を女性記者が実名告発

高校球児の聖地・甲子園では記者に対するセクハラ被害が…(写真/共同通信社)

高校球児の聖地・甲子園では記者に被害が…(写真/共同通信社)

 MeToo運動が広まり、映画界をはじめとする「性暴力問題」の告発が相次ぐなか、それを報じる新聞社が見ないふりをしている性被害があった。その現場は、高校球児の聖地・甲子園。当事者たちが実名で告発する。【前後編の前編】

 * * *
 夏の甲子園を目前に、全国各地で高校野球の地方大会が開催されている。

 今年の甲子園は3年ぶりに観客の入場制限が撤廃されて盛り上がることが予想されるが、その陰で浮上したのが、女性記者が被る性被害問題だ。

〈詳細を初めて知って衝撃。私も甲子園で担当チームの取材中に被害を受けたから。表に出ていないだけで、女性記者への性加害はこれまでもけっこう起きているのではないだろうか〉

 7月4日にツイッターでそう発したのは元朝日新聞記者の柴田優呼氏だ。高校球児たちが夢見る聖地で性被害が起きているという告発には多くの反応が寄せられている。

 柴田氏が改めて本誌・週刊ポストの取材に答えた。

「元朝日新聞記者が甲子園で性被害を受けたとウェブサイトで2年前に書かれたのを見て、他人事ではないと感じたので問題提起した次第です。これはセクハラレベルでは済まないことなので、私は『性被害』としています」

 1980年代後半に朝日新聞に入社した柴田氏は、若手の頃に高校野球担当になった。地方大会から取材していた高校が甲子園に出場したため、チームに同行し、同じ宿舎に滞在することになった。

 その宿舎で監督と1対1で取材中、突然抱きつかれそうになったという。

「普段は礼儀正しく丁寧に接してくださる監督だったので、あまりの豹変ぶりに驚きました」(柴田氏)

 その後、どうすればいいのか一人で悶々とした。

「自分なりに監督やコーチ、選手たちに食い込んでいたつもりだったので、記者として行動していたのに突然、性加害の対象にされてしまったことがショックでした。年の近い男性コーチに話したら驚いて本気で心配してくれたので心理的にかなり救われましたが、職場は筆舌に尽くしがたいほど男社会だったので、上司や同僚に相談できませんでした。言っても無下にされるだけだろうと、これまでほとんど口にしたことはありませんでした。

 私の経験より、(元朝日記者が2年前に書いた性被害が)ずっと酷いものになっており、今も同じような、もしくはより酷くなっている可能性があるのではないかと危惧しています」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

春の園遊会に参加された天皇皇后両陛下(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会ファッション》皇后雅子さま、選択率高めのイエロー系の着物をワントーンで着こなし落ち着いた雰囲気に 
NEWSポストセブン
現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
週刊ポストに初登場した古畑奈和
【インタビュー】朝ドラ女優・古畑奈和が魅せた“大人すぎるグラビア”の舞台裏「きゅうりは生でいっちゃいます」
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン