大相撲7月場所が荒れに荒れている。初日は横綱、2大関、2関脇が黒星スタートで、2日目も2大関、2関脇に土がついた。初日と2日目で小結以上の成績は5勝11敗。カド番大関の正代は初日から3連敗だ。
「先場所も全く同じで、横綱・大関に黒星が相次ぎ、平幕力士を三役以上が追いかける展開だった。最終的には横綱・照ノ富士が優勝したが、隆の勝、碧山、佐田の海、一山本、琴ノ若ら平幕が優勝争いを引っ張った。NHKの相撲中継では大関に勝てば銀星、横綱に勝てば金星としてインタビュールームに呼ばれるが、今場所は初日からインタビューが3人分もあり、横綱に勝った阿炎が6時の放送終了ギリギリになり一言だけというドタバタぶりです」(担当記者)
もはや大関が負けてもニュースにならないような状態で、結果として起きているのが「番付崩壊」だ。平幕力士の昇進に“大渋滞”が生じているのだ。
先場所は2大関(正代、御嶽海)が負け越したが、大関は2場所連続で負け越さないと陥落しない。関脇・小結も決して好調ではなかったが、大関相手に勝ち星が挙げられるから、負け越したのは関脇だった阿炎(7勝8敗)だけ。突き抜けて勝ちを重ねる上位力士がおらず、みんなが“ちょっとずつ勝ち越す”という事態が起きた。若手親方が言う。
「基本的に番付は、星ひとつ負け越すと1枚下がり、星ひとつ勝ち越すと1枚上がる。ただ、上位力士に勝ち越しが多いと、勝ち星ほど番付が上がらない現象が起きる。先場所の成績だと阿炎が関脇から小結に下がるだけで、三役に空きが出ず、平幕からの三役入りがなかった。場所を引っ張った平幕上位がほとんど昇進できなかった。三役の実力がある力士が平幕上位で渋滞しているのです」
先場所に東前頭2枚目で10勝をあげた霧馬山は東筆頭へと1枚上がっただけだし、西前頭4枚目で11勝の隆の勝も西筆頭への昇進で終わった。琴ノ若、玉鷲も大きく勝ち越したのに、西から東に半枚上がっただけだった。
「実力と番付が合致していないから、三役より力のある平幕力士の活躍で今場所も波乱の土俵が続くわけです」(若手親方)
横綱や大関ら、角界の看板力士たちの権威はどんどん下がるばかりだ。
※週刊ポスト2022年7月29日号