夏ドラマが続々とスタートしているが、中でも注目の作品の1つが『初恋の悪魔』(日本テレビ系)だ。『東京ラブストーリー』『Mother』『カルテット』などを手掛けた坂元裕二氏が脚本を務めることでも話題を集めている。どんな作品になるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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16日の土曜22時、ドラマ『初恋の悪魔』がスタートします。
同作は放送前からネット上を中心に話題を集めていますが、その理由は脚本を手がけるのが坂元裕二さんだから。さらに『初恋の悪魔』のチーフ演出は水田伸生さん、プロデュースは次屋尚さんが担当することが、世の中のドラマ好きたちをざわつかせているのです。
坂元さん×水田さん×次屋さんのトリオは、2010年放送の『Mother』、2013年放送の『Woman』をヒットさせた一方、2018年放送の『anone』は視聴率、視聴者の評判ともに低迷。特に視聴率は当時放送されていた水曜ドラマの半分程度に終わり、ワースト記録となったことがショッキングに報じられました。
しかも『anone』の終了後、坂元さんは3年間、テレビの連ドラから離れてしまったため、「もう日テレでこのトリオの作品は見られないのか」と嘆く声が挙がっていました。
ところが坂元さんは昨春、『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)で連ドラ復帰。全話の平均世帯視聴率は奇しくも『anone』とほぼ同じ6%程度だったものの、ネット上は熱狂的な声であふれ、「2021年のベストドラマ」に挙げる人も少なくありませんでした。
そしてさらに1年が過ぎた今夏、満を持して坂元さん×水田さん×次屋さんのトリオが復活する『初恋の悪魔』に注目が集まるのは当然でしょう。では同作はどんな物語で、どんな反響が予想されるのでしょうか。
4人の設定が『カルテット』を彷彿
『初恋の悪魔』のコンセプトは、警察署に勤めているが、部署もバラバラで捜査権のない4人による「小洒落でこじれたミステリアスコメディー」。さらに番組ホームページのイントロダクションに「警察モノ? ラブストーリー? 謎解き系? 実は青春群像劇? その全てがここに出会った!」というコピーが書かれていることから、「これまで見たことのない作品ジャンルや舞台設定のドラマにしよう」という意欲を感じさせます。
メインの4人は、「推理マニアで凶悪犯罪愛好家」の停職処分中刑事・鹿浜鈴之介(林遣都)、「自己犠牲型平和主義者」の総務課・馬淵悠日(仲野太賀)、「ぶっきらぼうだが人情あり」の生活安全課・摘木星砂(松岡茉優)、「妄想癖な腰痛持ち」の会計課・小鳥琉夏(柄本佑)。いずれもひとクセあるキャラクター設定だけに、坂元脚本らしい4人の会話劇が期待できそうです。
坂元さんの手がけたドラマで、「見たことのない作品ジャンルや舞台設定」「ひとクセある4人の会話劇」と聞いて思い出すのは、2017年放送の『カルテット』(TBS系)。さらに、刑事モノとしての事件解決だけでなく、「友情や恋も芽生えていく」という要素がある点も似た魅力がありそうです。
その他の出演者には、警察署長・雪松鳴人に伊藤英明さん、悠日の亡き兄で殉職刑事・馬淵朝陽に毎熊克哉さん、鈴之介が監視する怪しい隣人・森園真澄に安田顕さん、森薗の家に出入りする謎の女性・野上千尋に萩原みのりさんと、こちらもひとクセある人物の演技巧者がズラリ。極めつきは、連ドラはほぼ坂元×水田×次屋トリオの作品しか出演しない名優・田中裕子さんも、星砂を気にかけアドバイスを送る元監察医・小洗杏月を演じます。
また、「坂元×水田×次屋の作品ならぜひ」という俳優が多いだけに、週替わりの豪華ゲストが期待できるでしょう。