「二之湯氏の引退は入閣時から決まっていたことであり、彼の責任というわけではない。問題は、警察を所管し、テロ対策や要人警護などに努める国家公安委員長という重要閣僚を、引退間近の議員に任せたこと。岸田首相の任命責任が問われます」
二之湯氏は昨年6月、「残された人生をエンジョイしたい」と言って引退表明。10月の入閣時には、ネット上で「思い出づくり入閣」と揶揄する声も上がっていた。二之湯氏は就任時の会見で、「一部で大臣職を与えていいのかという論調もありますが、私の持っている知見を一生懸命発揮して、1年間で一定の成果を発揮したい」と意気込んだが、引退直前に悲劇が起きた。巡り合わせとはいえ、「成果を発揮」できたとは言い難い。
「二之湯氏は77歳での初入閣でした。それまで総務副大臣、党参議院政審会長などを歴任していたが、党内では決して目立つ存在ではなかった。岸田氏の総裁選勝利に貢献した平成研(茂木派)に属しており、推薦人にも名を連ねていたので、入閣については論功行賞の色合いが強い。かつて“参議院のドン”と呼ばれ、引退した現在も平成研に強い影響力を持つ青木幹雄氏への配慮もあったのではないか。
いずれにせよ、警備の検証を待つことなく、このタイミングで国家公安委員長が交代しなければならないことを考えると、岸田首相が引退間近の議員を国家公安委員長に任命したことが適切だったと言えるのか。疑問が残ります」(同前)