国内

【維新・選挙ボランティア潜入記】身元不明でも参加可能、来るもの拒まずな選挙現場

ジャーナリスト・横田増生氏が、選挙ボランティアとして内実を見た

ジャーナリスト・横田増生氏が、維新の選挙ボランティアとして内実を見た

 与党圧勝の参院選で唯一、議席倍増と気を吐き、比例では野党第一党に躍り出た日本維新の会。その勢いは本物なのか──“潜入取材のプロ”ジャーナリスト・横田増生氏が、選挙ボランティアとして内実を見た。(文中敬称略)【前後編の前編】

 * * *
 参議院選挙の投開票日である7月10日の日付が変わった直後、NHKが山本太郎に当選確実を打った。

 定員6議席の東京選挙区の全議席が埋まった。これで日本維新の会から出馬し、最後の6枠目に滑り込みたかった海老沢由紀(48)の落選が決まった。

 海老沢の選挙事務所からネットでライブ配信していた維新の参議院議員で、今回の選対本部を率いていた音喜多駿は、「無念……。あと一歩なんだよなぁ。(山本の得票とは)1ポイント差だけどなぁ……」と呻吟した。

 その直後、白いスーツと白のパンツ姿で事務所の壇上に立った海老沢はこう語った。

「海老沢由紀に一票を投じてくれた方のご期待に応えられず、申し訳ありませんでした。また、この長い選挙戦を支えてくれたボランティアや東京維新の会の皆様、スタッフ、関係者に心から感謝を申し上げたい」

 そうそう、そうなのだ。

 海老沢が感謝したい対象には、ボランティアとして参加していた私も含まれていた。

 投開票の当日まで、選挙戦をともに戦ったボランティアの1人として、都内の海老沢事務所で開票速報を見られるものだ、と思い込んでいた。勝っても負けても、18日間の選挙戦の結果を一緒に分かち合いたいじゃないか。

 しかし、当日午後、ボランティアが入っているグループLINEには、「コロナ感染対策等、諸事情を鑑み」、内輪だけで開票を見守るので、ボランティアは、維新のネット配信で見てほしい、というメッセージが流れてきた。正直言ってがっかりしたが、仕方がない。

 2000年代に入って以降最多の34人の候補者で争った東京選挙区の投票結果は、1位・朝日健太郎(自民党)、2位・竹谷とし子(公明党)、3位・山添拓(共産党)、4位・蓮舫(立憲民主党)、5位・生稲晃子(自民党)、6位・山本太郎(れいわ)──となり、海老沢は7位で落選となった。海老沢の得票数は53万票で、山本太郎とは3万票差。

 海老沢、完敗である。

 維新の獲得議席数は選挙区4、比例8の合計で12議席。「最低でも12人以上」とした目標にはどうにか手が届いたが、関西以外の選挙区では苦戦。党代表の松井一郎は、「われわれは力不足。負けを認めざるを得ない」と敗北宣言をした。その裏には、松井や副代表の吉村洋文が、何度も応援に入りながら、東京選挙区で議席を取れなかったことも大きく響いた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン