巨人ファンにしてみれば、「悪夢の3日間」だっただろう。本拠地・東京ドームで7月15日から行なわれた広島3連戦で、3試合連続満塁弾を浴びる屈辱。今季ワーストタイの5連敗で5位に転落した。首位を快走していた春先から一転、4月23日時点で最大13.5ゲーム差あった開幕9連敗の阪神にも抜かれた。翌7月18日のヤクルト戦で辛うじて勝ちを収めるも、エース菅野智之は初回から満塁本塁打を打たれるなど6回7失点で不安定な投球を見せた(以下、数値は7月18日終了時点)。
原因は投手陣の崩壊に尽きる。4試合連続で満塁弾を浴びてNPBワースト記録を更新するなど防御率4.03はリーグワーストだ。先発も救援も踏ん張れない。7月17日の広島戦では左腕・高橋優貴が4回途中で降板。3回まで無安打無失点と快調で4-0とリードしていたが、4回に突如崩れる。1死二塁から坂倉将吾の中堅フェンス直撃の適時二塁打で1点を失うと、3連続四球を与えて押し出しで2点目を献上。
原辰徳監督は我慢の限界に達したのだろう。自身の右太ももを右手で叩き感情を露わにすると、球審に投手の交代を告げた。しかし、この采配で広島打線の勢いを止められない。2番手の鍬原拓也は代打・堂林翔太に左翼席へ逆転満塁アーチを被弾。指揮官は厳しい表情でグラウンドを見つめていた。
「高橋は広島打線と勝負している心理状態ではないように見えた。もともと制球が良くない投手だが、四球を出したことで精神的に追い込まれていったのではないか。高橋に限った話ではないですが、他の投手を見てもベンチの方をチラチラ見てマウンドで集中しきれていないように感じる。原監督の怒りが選手に伝わっているし、コーチ陣もそれに気を遣っているのではないか。原政権の限界を感じさせられます」(スポーツ紙記者)
春先は貯金11を積み上げる快調なスタートだったが、決して楽観視できなかった。先発陣で山崎伊織、赤星優志、堀田賢慎と若手が台頭したが、対戦を重ねて相手球団がデータをそろえられるようになると、対策を講じられて痛打を浴びた。昨年日本一に輝いたヤクルトは4月に正捕手の中村悠平を故障で欠くなど本来の布陣でなかったが、試合を重ねると地力の強さを発揮する。一方で巨人は攻守の要だった坂本勇人が戦線離脱し、絶対的エース・菅野も全盛期の安定感はない。失速するのは必然とも言えるのだろう。