夏場のゴルフは「突然死」のリスクが高まるという。特に突然死しやすいのが40~50代の男性だとされており、ラウンド中には予期せぬ落とし穴も。あるトップアマは、実際にプレー中の突然死に居合わせたと証言する。
「一緒にラウンドしている人が2人もコースで亡くなった経験があります。どちらもトップアマでオープン競技に出るレベルのゴルファー。暑さや寒さにも慣れているはずだったのですが……」
2人とも働き盛りの50代前半だった。
「3ホール目のセカンドショットで残り100ヤードをウエッジで打った直後でした。グリーンに向かって歩いているとその場にうずくまった。フェアウエーのど真ん中で、カートに運ぶこともできず、救急もすぐには来ない。日傘を差すしかできませんでした。救急車がきた時には手遅れ。ゴルフ場は救急救命の点で落とし穴があることを実感しました」(同前)
もう1人はグリーン上で倒れた。
「3メートルぐらいのバーディパットを打った直後に胸を押さえてうずくまり、動かなくなってしまった。木陰まで運んであおむけにし、介抱しましたがピクリともしない。この時も近くまで救急車が入れず、急性心不全で亡くなりました。あとで家族に話を聞けば高血圧の持病があったそうです」
ゴルフ場での突然死を防ぐにはどうすべきか。順天堂大学医学部特任教授で心臓外科医の天野篤氏が言う。
「健康面を考えると、関東地方なら真夏のゴルフは軽井沢や箱根、那須など避暑地でやったほうがいい。気温が30℃を超えて湿度が高く、日差しも強いと体力の消耗が激しすぎます。
どうしても炎天下でプレーする場合は、氷嚢や冷凍したペットボトルを持参して、大きな血管が通る首や脇下を冷やしながらラウンドしましょう」
元日本女子プロゴルフ協会の顧問医・小暮堅三氏は事前の準備が大切だという。
「プレーの前日は十分に睡眠をとって体調を整え、ラウンド前には10分でいいから準備運動をしてほしい。心身の緊張がほぐれます。何より大切なのは心の持ちようで、欲を抑えて実力以上のスコアを望まないこと。多くの突然死は実力以上のスコアを出している時に起こっています」
ミスショットを受け入れる寛容さが、生死を分けるカギになる。
※週刊ポスト2022年7月29日号