三谷幸喜氏脚本で注目を集めるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。新キャストが発表されているが、注目はアクション女優として人気上昇中の山本千尋(25才)だ。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが山本のすごい経歴について解説する。
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、頼朝(大泉洋)が死去。跡を継いだ嫡男・頼家(金子大地)を補佐するべく、江間義時(小栗旬)ら13人の御家人が勢ぞろい。それが気に食わない頼家は、自ら選んだ若武者を側近にして、幕府の中はピリピリ。不穏な空気が漂っている。その一方、頼家の側室ですでに息子(一幡)を授かったせつ(山谷花純)と正室のつつじ(北香那)が早くもバトルを繰り広げ、頼家にとっては、家の中もピリピリ状態で大変なことになっている。
後半に入り、新キャストも続々登場しているが、中でも私が注目するのは、これから登場するトウを演じる山本千尋だ。
トウは、善児(梶原善)に育てられた孤児である。善児といえば、「出てくるたびに人が死ぬ」と恐れられるドラマ屈指の不吉な存在。まだまだ重要人物が謎の死を遂げることになるこのドラマで、いったいどれだけ登場するのかとドキドキするが、その人物に育てられたトウを山本千尋が演じるというんだから、こりゃ大変である。
なにしろ、1996年生まれの山本は、幼い頃から中国武術を習い、2008年・2012年に世界ジュニア武術選手権大会「槍術」部門で金メダルを獲得するなど、卓越したキャリアの持ち主なのだ。
私が初めて彼女に注目したのは、映画デビュー作『太秦ライムライト』。長年斬られ役として仕事をしてきたベテラン俳優(福本清三)に見込まれ、殺陣の指導を受けて大成する新人女優役だった。この作品で山本は2015年ジャパンアクションアワードでベストアクション女優優秀賞を受賞している。