まもなく前半戦を終えるプロ野球で、一際目立つ数字を残しているのが、ヤクルトの村上宗隆(22)だ。7月21日時点で、本塁打数は32本、打点は88でリーグトップ。打率もDeNAの佐野恵太(27)に次ぐ.319で2位につけている。2004年のダイエー・松中信彦以来の三冠王にも手に届きそうな村上だが、その凄さの本質はどこにあるのか。
ヤクルトで4番打者として活躍した広澤克実氏が語る。
「村上は、広角にホームランを打てることもさることながら、ローボールヒッターであることが特長です。インコースでも低めはストレートだけでなく変化球もはじき返しているので、セの投手たちは頭を悩ませているでしょう。2013年に60本塁打を記録したバレンティン(当時ヤクルト)は、ホームランを量産する一方で空振りも多かったが、今シーズンの村上は穴がほとんどないですね」
主力投手としてV9時代の巨人を支えた「エースのジョー」こと城之内邦雄氏は、1964年にシーズン55本塁打を記録した“世界の王”こと王貞治氏と比較してこう語る。
「王さんは腰の回転を利用してインコースをさばいていたけど、村上もそれに近いかな。王さんはこのコースに来れば確実にライトスタンドに運ぶことができるというホームランポイントがあったが、村上はアウトコースをレフトに打ってホームランも打てる。これはピッチャーとしては怖いよね。
あと村上が凄いのは22歳にしてチームリーダーとしての自覚があるところだね。V9は20代後半から30代に入っていったONがチームをまとめていたけど、それよりさらに若い村上がどこまで成長するのか。大きな可能性を感じさせる選手であることは間違いありません」
歴代の名選手たちもその実力を高く評価しているが、果たして村上を抑える手段はあるのか。大洋のエースとして、V9時代のジャイアンツを相手に勝ち星を量産し、巨人キラーとして知られた平松政次氏はこう語る。