朝ドラ放送後の『あさイチ』(NHK)でMCがドラマの内容についてトークを繰り広げる“朝ドラ受け”がおきまりとなってきたが、『ちむどんどん』では減少傾向にある。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが背景を分析する。
* * *
このところ朝ドラ『ちむどんどん』(NHK)の“朝ドラ受け”に顕著な減少傾向が見られます。
同作がスタートしたのは4月11日。ここから5月18日放送の第28話までは放送終了直後、必ず『あさイチ』でMCの博多華丸・大吉と鈴木菜穂子アナが朝ドラ受けを行っていました。
しかし、5月19日の放送では冒頭から特集のVTRが映され、「ニーニーのことは置いといて…」というテロップが表示されたのみで、MCのコメントはなし。これをネットニュースが「異変」と報じたことが話題になり、翌20日の放送では大吉さんが「ありますよ、朝ドラ受けは」とあわてて釈明するひと幕がありました。
ところがこれで元に戻ると思いきや、そうではなかったのです。その後、6月までの放送では朝ドラ受け「あり」が16回、「なし」が13回と5割超に留まったほか、6月23日から29日までは5回連続「なし」でファンを動揺させました。さらに7月に入るとここまで「あり」7回、「なし」9回と数値が逆転。最近では朝ドラ受けがないことに慣れたのか、視聴者が以前ほど驚きの声を挙げなくなりはじめています。
もともと必ず朝ドラ受けがあるわけではないものの、その数が減っているのは明らかであり、これは5月に報じられた「異変」の続きなのでしょうか。もしそうならどんな理由が考えられるのか。減っている今だからこそ、その難しさが見えてきました。
内容と質に左右される朝ドラ受け
もともと朝ドラ受けは前MCの井ノ原快彦さんと有働由美子さんがはじめたものであり、番組間にCMをはさまないNHKならではの演出。当初は一人で朝ドラを見ている高齢層に寄り添うような優しいコメントが多かったのですが、MC交替後は華丸さんがドラマ好きであることからドラマフリークに向けたものに変わっていきました。
博多華丸・大吉のコメントはドラマフリークの気持ちに寄り添うようなものが多く、しかも的を射ていることが多いだけに、良くも悪くも朝ドラの内容や質に左右されやすいところがあります。
その点、SNSで「#ちむどんどん反省会」が盛り上がるなど批判の声が目立つ『ちむどんどん』の朝ドラ受けは難易度が高く、ネガティブなコメントにならざるを得ないのが現実。実際、博多華丸・大吉のコメントは前作『カムカムエヴリバディ』と比べてもネガティブなものが多く、あまり楽しそうな顔を見せていません。
たとえば、減りはじめて以降の主な朝ドラ受けをピックアップすると、5月24日に華丸「謝れ、暢子。まだ間に合う」、大吉「ごめんな。オーナーを心から応援している自分がいる」、華丸「ニーニー、どうやってお金作って帰ってきた?(疑問を)言い出したら(きりがない)」。6月6日に大吉「問題が山積み。困ったね」。6月7日に華丸「オーナーの言う通り。あの兄妹は本当にもうねえ、言いたいことはたくさんあります」。6月22日に大吉「寝坊ダメ~」、華丸「何でニーニーの言うこと聞くんやろね。意味がわからんのよ」。
暢子(黒島結菜)、和彦(宮沢氷魚)、愛(飯豊まりえ)、智(前田公輝)の恋愛模様を描いた前週・前々週の放送後も、7日に大吉「はあ…気まずい」、華丸「和彦のマリッジブルーがひどいのよ」、大吉「智の暴走がひどい」、鈴木アナ「ちょっと逃げちゃっていますね、みんな」と否定モード。さらに14日には華丸「まっ、われわれが口を出すことじゃない」、大吉「そうそう。もうちょい早く断っておけばよかったのかな」と突き放すようなコメントになってしまいました。