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大相撲の大関は「年間たった24勝」で居座れる!? なぜ、こんな制度になっているのか

大関・貴景勝は7月場所をなんとか勝ち越したが…(時事通信フォト)

大関・貴景勝は7月場所をなんとか勝ち越したが…(時事通信フォト)

 大相撲で今年に入ってから大関陣の情けなさが際立っている。7月場所でも序盤から3大関が星を落とし、カド番の御嶽海は2勝4敗と黒星が先行した状態でコロナ感染による不戦敗、そして途中休場となった。貴景勝、正代も後半戦になんとか盛り返して勝ち越しを決めたとはいえ、安定した成績が残せない。横綱に次ぐ地位でありながら、それに見合う相撲が取れているとは思えないが、それでも番付が落ちるわけではない。「大関」とは一体なんなのだろうか。

 7月場所では前半戦で3つの黒星を喫した貴景勝だが、今年に入ってからは1月場所が1勝3敗11休、3月場所が8勝7敗、5月場所が8勝7敗と、文字通り“勝ち越すのがやっと”の数字しか残せていない。カド番として臨んだ7月場所で5日目までに1勝4敗という危機に陥った正代も、1月場所が6勝9敗、3月場所が9勝6敗、5月場所が5勝10敗という数字で、カド番を繰り返している。

 今年1月場所で関脇として優勝し、場所後に大関昇進を果たした御嶽海は翌3月場所こそ11勝4敗の成績を残したが、5月場所は6勝9敗と負け越し、大関3場所目にしてカド番という状況だった。7月場所はコロナ感染で途中休場となったが、相撲内容は惨憺たる状況だった。

「現行の大関制度では、2場所に1回8勝すれば地位は守れる。年6場所で24勝すれば大関に居続けることができるわけです」と相撲担当記者は苦笑いする。

 実際、2021年の貴景勝は2場所の途中休場があり、年間で45勝しか挙げていない。1場所平均7.5勝という計算になる。正代は6場所全勤し、負け越したのは1場所ながら52勝。1場所平均8.6勝だった。今年はさらにひどく、5月場所までの3場所で1場所途中休場がある貴景勝は17勝で1場所平均5.7勝、全勤の正代は20勝で1場所平均6.7勝だ。これで大関の地位を守ってきた。

 7月場所は13日目を終えて貴景勝が10勝、正代が8勝なので2人とも平均の勝ち星数は増えるが、とても満足のいく水準とは言えないだろう。北の富士氏も、正代が12日目で勝ち越したことを受け、中日スポーツのコラムで〈正代は今ごろ力を出してどうする。勝ち越せば大関の責任を果たしたと言えるのか。力を出すなら初日から出さんかい〉(7月22日付)と手厳しくコメントした。

 関脇以下なら基本的に1つ負け越せば、番付が1枚下がる。例外となるのが、番付が落ちることがない「横綱」と、1場所負け越してもカド番となるだけで番付は変わらず、2場所連続で負け越すことで陥落となる「大関」だ。いつからこのような制度になっているのか。

「1958年に年6場所制となった際、大関は『3場所連続負け越し』で関脇に降格されるという仕組みが導入されたことがあります。それまでは2場所連続負け越しで陥落していたのですが、本場所が多くなって体調管理が大変だということで、元・双葉山の時津風理事長のもとで条件の緩和が決まった。

 ただ、当時は3場所連続負け越しという基準に緩和したというのに、カド番となって陥落が決まる大関が出ていた。松登、若羽黒、栃光(陥落決定後に引退)が3場所連続負け越しを記録しています。そのうちに大関が負け越すことが多くなり、大関の地位に踏みとどまれることへの批判が高まったことで、元・出羽ノ花の武蔵川理事長時代の1969年7月場所から『2場所連続負け越し』と厳しい基準に改められた。ただし、その際に救済措置として『陥落した関脇で10勝すれば返り咲ける』という仕組みが設けられた。これが現行のカド番ルールなのです」(前出・相撲担当記者)

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