角界が、新型コロナの“第7波”の直撃を受けている。場所前に感染が判明した田子ノ浦部屋を含めると全43部屋のうち12部屋が休場に追い込まれた。新たに4部屋の休場措置が取られた13日目は、会場となった名古屋のドルフィンズアリーナが異様な雰囲気に包まれていた――。
十両や幕内の取組前には、こんな場内放送が繰り返して流されていた。
〈お客様にお知らせします。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、本日の幕内前半戦、後半戦ともに不戦勝の取組が続きます。ご観覧の皆さまにはご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承いただきますようにお願い申し上げます〉
NHKの大相撲中継では場内放送の音声は絞られるため、こうしたアナウンスなどの雰囲気までテレビ桟敷には伝わらないが、取組が進むにつれて会場の観客からもどよめきやため息が広がっていった。この日から幕内力士7人が休場となった。
幕内の取組が始まるといきなり水戸龍と剣翔の一番で呼び出しが土俵に上がって「不戦勝」の幕を4方向に掲げた。その後、6番の取組後、錦富士と翔猿の一番も「不戦勝」となると、幕内後半戦に入り審判の交代を挟んで5番連続で「不戦勝」……。
幕内18番のうち7番が「不戦勝」という結果となるわけだ。それも優勝が絡む一番や人気力士の取組が不戦決着となってしまった。
「人気力士の遠藤と翔猿が休場し、宇良も対戦相手の玉鷲が休場して不戦勝に。がっかりしたファンが多かったようです。おまけに優勝争いのトップを走る逸ノ城も不戦勝。前半と後半の休憩を挟んで5番連続で不戦勝となった時は“カネ返せ”と叫ぶ人がいて、マナー悪いなと思う一方、気持ちは分からないでもない」(桝席で観戦していた50代男性)
本来、中入り後の取組は、幕内力士42人が対戦するため21番ある。今場所は高安が田子ノ浦部屋関係者の感染によって初日から休場したが、十両から竜電が幕内の土俵に上がって21番あった。その後、7日目にカド番だった御嶽海が出羽海部屋関係者のコロナ感染(御嶽海も翌日に陽性判明)で休場。
そこからは立て続けに新型コロナの影響による途中休場が出た。鳴戸部屋、放駒部屋、武蔵川部屋、佐渡ケ嶽部屋、玉ノ井部屋、浅香山部屋などで感染者が相次いだのだ。コロナ関連での休場は計12部屋で、全力士627人の3割近くが休場せざるを得なくなった。13日目は伊勢ノ海部屋、片男波部屋、追手風部屋、芝田山部屋と関取を多く抱える部屋に感染者が出たことで、各所で対応に追われていた。