ユニクロ、アマゾンなどへの潜入取材で知られるジャーナリスト・横田増生氏が、参院選東京選挙区に出馬した維新候補の選挙ボランティアとして潜入レポートした週刊ポスト2022年7月29日号での記事は大きな反響を呼んだ。内側から見た維新の問題点は、まだまだある。その“ハリボテ”ぶりとは──。(文中敬称略)【前後編の前編】
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私が前号で書いた維新・選挙ボランティア潜入記に対し、海老沢由紀が7月19日付のブログに反論を書いている。
ブログでは、比例区で当選した猪瀬直樹によるおさわり事件について、「ワーキングマザーのイメージで選挙運動をしていた海老沢は、これで対応を誤った。公開セクハラを女性自身が正当化してしまったように見えた」という私が紹介した大学教授のコメントを問題視している。
猪瀬の手が自分の胸には当たってないとし、「印象操作」と書く。これは的外れの反論だ。
選挙の街宣演説という公の場で、男性候補が女性候補の胸を触ったように見えること自体が問題なのだ。これだけコンプライアンスが声高に叫ばれる昨今において、セクハラ問題をスルーして、猪瀬や組織を庇おうとした姿勢が、維新の引きずる男性優位主義的な体質を露呈していることが問題なのだから。
ペットボトルの配布
もう一つ維新の体質を端的に表す事柄を、私は目撃した。
ボランティアとして働く間、私は3つの公職選挙法違反行為を目にしている。
一つ目は、選挙用運動ビラの配布についてである。このビラは、候補者に割り当てられた腕章をつけた15人の運動員しか配ることはできない。海老沢陣営では、ビラが入った布製のポーチに腕章をピン留めしたものをボランティアに渡していた。
しかし、ボランティアの数が15人を超える時は、選挙運動用ビラだけをボランティアに配らせていたことが複数回あった。特に投票日前日などは、ボランティアの数が60人を超えたため、私を含め、多くのボランティアが腕章なしで選挙用運動ビラを配っていた。
また、一日に都内の10か所近くを移動して街宣演説をするため、海老沢由紀の名前の書かれたのぼりは、鉄製の黒の四脚の土台に載せていた。しかし、公職選挙法では、のぼりは自動車などに括り付ける必要がある。