スポーツ

優勝の逸ノ城「モンゴル力士グループと一線を画す姿勢」がついに花開いた

怪物と期待された衝撃のデビューから約8年、ついに幕内最高優勝に手が届いた(時事通信フォト)

怪物と期待された衝撃のデビューから約8年、ついに幕内最高優勝に手が届いた(時事通信フォト)

 コロナ禍で全627人のうち約3割にあたる174人が休場となった7月場所を制したのは、モンゴル出身の逸ノ城だった。2014年1月場所で幕下15枚目格付け出しデビューし、同年11月場所では史上最速の5場所で新三役(関脇)に昇進。モンゴルの怪物として注目された。当時は白鵬、鶴竜、日馬富士という“モンゴル出身3横綱”が君臨した時代だったが、逸ノ城は「グループの一員」という印象ではなかったという。

 若手親方はこう振り返る。

「逸ノ城のデビュー当時、モンゴル力士グループは朝青龍派と旭鷲山派に分かれていた。2人ともすでに引退していたが、その人脈として朝青龍派の代表が日馬富士、旭鷲山派の代表は白鵬といった色合いがあった。それぞれのグループで一緒にモンゴル料理を食べに行くなどプライベートでも行動を共にしていたが、逸ノ城はどちらのグループにも属そうとしなかった。

 逸ノ城は遊牧民出身で、モンゴルの首都・ウランバードル出身の他のモンゴル勢とは距離があったのでしょう。デビュー当時は仕度部屋でも誰かとつるむ様子はなかった。関脇でありながら決まった場所には座らない。玉鷲、荒鷲、旭秀鵬といった中間派のモンゴル力士グループに声をかけられることもなく、力士の隙間になんとか場所を確保している状態で、浮いている印象がありました」

 その後にモンゴル出身力士たちの人間関係に決定的な亀裂を走らせたのが2017年10月に秋巡業先の鳥取で起きた「日馬富士暴行事件」だが、連日ニュースを騒がせた事件に、逸ノ城は巻き込まれずに済んだ。相撲担当記者が解説する。

「当時の白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱に、鳥取城北高校OBである照ノ富士、貴ノ岩、石浦の関取衆3人を含む計13人が参加した食事会で、二次会の席上で日馬富士が貴ノ岩へ暴行を加え、角界を揺るがす大事件に発展しました。逸ノ城も鳥取城北高校出身ですが、運よく秋巡業を腰痛により途中休場していたこともあって参加していなかった。もともと、照ノ富士と逸ノ城は同じ飛行機で来日して鳥取城北高校に入学していますが、照ノ富士が部屋の移籍によって同じ伊勢ヶ濱部屋の先輩となった日馬富士と交遊を深めたのに対し、逸ノ城は距離を置いたままだったのがよかった面もあるでしょう」

 当日の飲み会では、白鵬をはじめとする横綱たちが、貴ノ岩や照ノ富士ら同郷の後輩を締め上げた。膝の故障を抱える照ノ富士に対して正座させて説教し、その後に膝の容態を悪化させた照ノ富士は序二段まで陥落してしまった経緯がある。相撲協会の調査報告書によれば当日、正座させられた状態で日馬富士に頬を張られた照ノ富士は一言、「ごっつぁんです」と応じたといい、グループ内の“上下関係”には驚かされる。

関連記事

トピックス

春の園遊会に参加された天皇皇后両陛下(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会ファッション》皇后雅子さま、選択率高めのイエロー系の着物をワントーンで着こなし落ち着いた雰囲気に 
NEWSポストセブン
現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン