「ぼく、仕事がない時期が長かったので」
西島は、横浜国立大学出身の秀才で、主演作『Cut』(2011年)がヴェネツィア国際映画祭で上映された際には流暢な英語でスピーチを披露した。英会話の素地があるとはいえ、英語でセリフを言い、スタッフとコミュニケーションを取るとなると、より高度な英語力が必要だ。そのため最近は英語の勉強に精を出しているという。
「西島さんの海外志向はここ数年で急激に高まってきていて、渡米して本格的にハリウッド俳優として歩んでみたいという希望も抱いているそうです。でも、踏み切れていないのは、やはりご家族のことがあるのでしょう。
2人の息子さんはまだ6才と3才ですから、一緒に連れていくのかどうかは非常に悩ましいところ。家族を日本に残していくにしても、アメリカでちょっと活動してみてダメだったらすぐ帰国するというわけにもいかないですし、離れ離れの生活が何年続くかわからないですからね」(芸能関係者)
もう1つの懸念は、日本人俳優にとっての“ハリウッドの壁”の高さだ。
「これまでも多くの日本人俳優がハリウッドに挑戦してきましたが、正直なところ成功をおさめたとは言い難い。現時点では渡辺謙さん(62才)を超える人は出てきていないのが実情といえるでしょう」(在米ジャーナリスト)
ここ数年でもそれは顕著だ。たとえば、山下智久(37才)は、6月24日から配信されている映画『マン・フロム・トロント』に出演し、「ハリウッド進出!」と大々的に宣伝されたが、大きな見せ場もなく、出演シーンは合計30秒にも満たなかった。現在、NHK大河ドラマで主演を張る小栗旬(39才)は、昨年、映画『ゴジラvsコング』でハリウッドデビュー。だが、結果的に出演シーンは全部で5シーンほどで、大半が無言だった。
「小栗さんの出演シーンは当初の半分くらいまで削られてしまったそうです。彼は2019年から妻の山田優さんや子供たちとともにロサンゼルスに移住し、英語力を磨いてきたのですが、それでも現場でのコミュニケーションには相当苦労したそうです。また、発音の問題でテイクを重ねることも多かったと聞きました。彼自身、かなり気合を入れて臨んでいましたから、思い通りにいかない現実を目の当たりにして、とても悔しかったそうです」(映画関係者)
小栗のハリウッドでの活躍を渡米前から応援してきたひとりが西島だった。2人の距離がグッと縮まったのは、2017年のドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)での共演だったという。
「西島さんは、もともと小栗さんの英語力や演技力を絶賛していて、“小栗くんならやれる”と思っていたそうです。でも、その小栗さんでさえ、あのような扱いになってしまった。最近、“あの小栗くんだって難しかったんだから……”と弱気な発言を周囲に漏らしていたそうです。仲がいいからこそ、小栗さんを“反面教師に”という思いもあるのでしょう」(前出・映画関係者)
西島には仕事選びに慎重にならざるをえない理由もあるという。
「1993年にドラマ『あすなろ白書』(フジテレビ系)で大ブレークを果たすも、アイドル路線で売ろうとする当時の事務所に反発して退所。テレビ局の前事務所への忖度もあり、5年間もテレビドラマに出られない不遇の時代が続きました。
今年3月、日本アカデミー賞の授賞式で最優秀主演男優賞に輝いた際も『ぼく、仕事がない時期が長かったので』と発言したぐらいなので、このときのつらさは、忘れられないのでしょう。
この経験もあり、彼は仕事選びにはかなり慎重で、これまで海外作品に興味を持ちながらも、あと一歩が踏み出せなかった。でも、“『ドライブ・マイ・カー』で世界から注目されているこのタイミングなら”と、今回の海外ドラマへの挑戦を決意したそうです」(前出・テレビ局関係者)