今年6月に公表された内閣府「令和4年版男女共同参画白書」のある報告が注目を集めている。「これまでデートした人数」を調査したもので、20代男性の40%が「0人」と回答したのだ。
これを受け、インターネットを中心に「コロナ禍の影響で出会いの場が減った」「SNSの発達により顔の見えない相手との交流で満足できるようになった」「長期にわたって続く不景気の影響ではないか」といった意見があふれ返った。だが、「果たしてそうだろうか」と疑問を呈する専門家たちもいる。この「4割」という数字に対し、独身研究家の荒川和久さんは、「いつの時代もそんなもの」だと話す。
「統計的に見ても、過去30年間で“恋愛強者”が3割、“恋愛弱者”が3割、中間層が4割であることは変わっていません。足が速いことや計算能力が高いことと一緒で、恋愛力も個人が持つ能力の1つですから全員に備わっているものではない。いまも昔も恋愛強者はどんな環境でもデートしますし、いつの時代もデート経験のない若者が一定数いるのは自然なこと。男女差もそれほどありません」(荒川さん・以下同)
デートする若者の割合が時代によって変わらないのならば、昨今の未婚率の上昇はなぜだろうか。
「1980年代までは、中学、高校、大学と進学し、会社に入って結婚するというのが国民にとって“当たり前”でした。しかし、その当たり前を支えていたのは、お見合いや職場縁という“結婚お膳立てシステム”です。
昔は会社の上司が『あいつ、お前に気があるみたいだぞ』などとお節介を焼いていた。興味のない相手でも、そう言われて意識するようになると単純接触効果で好意を抱き、社内恋愛や職場結婚に発展していたのです。
しかし、最近はそんな行動はセクハラやパワハラと捉えられる可能性が高い。昔のように社内恋愛や職場結婚が生まれやすい環境ではなくなったのです」
いつの時代も、異性から「モテる」ことはステータスだった。だが、最近の若者からは「モテたい」という願望も薄れつつあると恋愛戦略家の関口美奈子さんが話す。