2026年のサッカーワールドカップ(以下W杯)北中米大会から出場国数が32から48に拡大されるのに伴い、アジア枠は4.5か国から8.5か国へと大幅に増加されることになった。1998年のフランスW杯から7大会連続出場の日本にとって、より本戦出場のチャンスが高まる改正となったが、テレビ局はこれに頭を悩ましているようだ。民放関係者はこう危惧する。
「これだけ枠が広がれば、まず日本は出場できるでしょう。そうすると、アジア予選の視聴率は上がっていかない。ただでさえ放映権料が高いですから、テレビ局は相応の視聴率にならないと採算が取れません。現実的に考えれば今後テレビの広告料が上がって行くとも思えないですし、放映権料が下がらない限り、地上波が全試合放送する可能性は低くなったと思います。それどころか、地上波から最終予選が消えることさえあり得る。放送したとしても、W杯出場を決めそうな試合だけになるかもしれません」
昨年から今年にかけてのW杯最終予選はテレビ朝日がホームの試合を中継したが、アウェーの地上波中継はなく、有料ネット配信の『DAZN』が全試合を放送した。
「地上波の広告価値が落ちていますから、莫大な放映権料を払えない。そのため、新興勢力の『DAZN』に奪われ、地上波は肝心のW杯出場決定試合を放送できませんでした。次回以降はホーム全試合の中継もできるかどうか……。
昨年、最終予選初戦のオマーン戦の視聴率は13.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)でした。テレビの視聴率が全体的に下がっているとはいえ、高くなかった。大きな理由は、『予選敗退はないだろう』と認識されているからでしょう。しかし、最初の3試合で2敗してヤバい雰囲気になってきた。本当に『絶対に負けられない試合』になったホームのオーストラリア戦は16.8%を取った。昔の基準で考えると低いですが、その週の全ての番組の中で『ドクターX』の次に高い視聴率でした。逆にいえば、あれだけ追い込まれても今は16.8%しか取れないと現実を知りました」