後半戦の初戦となる7月29日の首位ヤクルト戦で、阪神は6対0と快勝。最大17あったゲーム差を10に縮め、ヤクルトの優勝マジック41も消滅させた。翌日も佐藤輝明のホームランなどで7対3と連勝。阪神はオールスターゲームを挟んで5連勝となり、追撃ムードは最高潮となるはずだったが、地元では「タイガース応援のシンボル」が、いったん姿を消すというのだ。
今季の阪神は、開幕からドロ沼の9連敗で、すでにシーズン後の退任を表明していた 矢野燿大監督の途中解任まで浮上するほどだったが、6月の交流戦から調子は上向き、借金をどんどん返済していった。もともと青柳晃洋や西勇輝、伊藤将司ら先発陣は盤石の安定感があったところに、佐藤を軸に据えた打線にもつながりが出てきている。後半戦の開幕カードでいきなり白星を重ねたことによる5連勝は今シーズン4度目。春先とはまるで違うチームのようだ。
そんなタイガースのマスコットと言えば、言わずと知れた「トラッキー」である。7月29日のヤクルト戦で移籍第1号を放ってお立ち台に上ったロドリゲスは、トラッキー人形を受け取り、甲子園のファンの大歓声を浴びた。
ところが、そんな上り調子のなかで、地元の阪神ファンなら多くの人が知っているタイガース応援のシンボルキャラクターが、“修理”に出されてしまうのだという。兵庫県の尼崎中央三丁目商店街の屋根から吊るされた「めでタイガー」だ。その名前を知らない人でも、一緒に掲げられる「日本一早いタイガース優勝マジック」のことは知っているのではないか。
同商店街の“マジック”は、開幕直後から点灯する。もちろん、正規ルールのマジックではない。基本的には残り試合数が掲示されるだけなので、開幕戦で勝てば「マジック142」といった具合になる。掲示された看板をよく見ると小さく「優勝記念セールまで」と書かれている。
しかし、2位タイとなった前半戦終了時に同商店街を訪れると、“マジック”は消えていた。商店街振興組合の寺井利一理事長によれば、「(7月2日)ヤクルトに(本物の)マジックが出た時点で外している」とのことだ。その後、新型コロナによる主力欠場もあって黒星を重ねたヤクルトのマジックは一時、消えたが(7月14日消滅、同24日に再点灯)、その間も商店街の“マジック”は再点灯させなかったという。寺井理事長は「再点灯させようかとも思ったんですが、またすぐヤクルトの(本物の)マジックが点灯するやろと……」と諦めムードだった。
ただ、今回は後半戦開始早々の直接対決を制してヤクルトのマジックが消滅。商店街ももう少し景気のいい対応するのでは? と思って再度確認すると、やはりもとのまま。