お笑いタレント・片岡鶴太郎(67)が出演していた愛媛の深夜バラエティ番組『鶴ツル』が、女性出演者からの「セクハラ発言などによって精神的な苦痛を受けた」との申立によりBPO(放送倫理・番組向上機構)で審理入りすることが決定した。この件について、放送局あいテレビなどに見解を聞いた。
BPO公式サイトは、7月19日の放送人権委員会で、『鶴ツル』の女性出演者から「番組中での他の出演者からの度重なるセクハラ発言などによって精神的な苦痛を受けた」との申立があったことを報告した。〈番組開始当初から苦痛、改善を訴えていたにもかかわらず、放送された他の出演者のトークが、申立人自身に対するものも含めてしばしば性的な内容に関することに及んで申立人に羞恥心を抱かせることで、また、そのような内容の番組の放送によって申立人のイメージが損なわれたことで、人権侵害を受け、放送倫理上の問題が生じたと主張している〉と申立書の内容が記されている。
一方で被申立人のあいテレビは〈申立人は番組の趣旨を十分に理解した上で出演しており、申立人からの苦情も2021年11月が初めてで、また、番組の内容も社会通念上相当な範囲を逸脱しておらず、人権侵害や放送倫理上の問題はない〉と主張しているという。BPOは本件の審理入りを発表した。
『鶴ツル』は2016年4月に放送スタートし、今年3月に終了。片岡鶴太郎、フリーアナウンサーの大下香奈アナ、地元の現役住職である福村俊弘氏の3人がお酒を飲みながらトークを繰り広げ、「ちょっと大人の夜」をコンセプトにしていていた。
「出演者は3人である以上、申立人は大下アナでしょう。大下アナは、NHK松山放送局契約キャスター、テレビ愛媛アナウンサーを経てフリーアナウンサーになり、歌手活動も行っています。同時期に終了した別のレギュラー番組については名残惜しそうにブログで告知していましたが、『鶴ツル』終了には一切触れていないのが意味深長です」(芸能記者)
あいテレビにBPO審理入りについて問い合わせたところ、以下のような回答だった。
「お酒を飲むことや『ちょっと大人の夜』といった番組の趣旨については、相手の方にも理解していただけていたはずです。今春で番組が終了したのは、今回の申立とは関係なく、総合的な判断によるものです。
番組開始から5年半以上にわたって、出演者であった申立人と共に番組を制作してまいりました。当社としては、人権侵害があったとは考えておらず、突然の申し立てに困惑しております。今後は、BPOの審理に真摯に対応してまいります」(あいテレビ取締役)
片岡鶴太郎サイドにも問い合わせたが、あいテレビから「BPOの審理は、番組に対して行われるものですので、当社からご回答させていただきます」との連絡があった。なお審理入りの件自体は、片岡の所属事務所にも報告済みだという。
もう1人の出演者である福村氏は「番組の進行において特別問題はなかったと私は感じています」との回答だった。大下アナについては、代理人から「申しわけありませんが、取材等には対応できません」と連絡があった。
BPOの発表によると、〈次回委員会から実質審理に入る〉とのこと。あいテレビにとっても大下アナにとっても、納得のいく解決はできるのだろうか。