東京五輪組織委員会の高橋治之元理事(78)が2017年、電通の旧子会社を介し、大会スポンサーの紳士服大手・AOKIホールディングス側からコンサルタント料とは別に計2億3000万円を受領していたことが分かり、東京地検特捜部が受託収賄容疑で捜査を進めている。
高橋元理事はスポーツ界と政界に絶大な影響力を誇り、“五輪招致最大の功労者”とも称された人物だけに、捜査には衝撃が走り、そのタイミングから「招致を手がけた安倍元首相の死と関係しているのか」と穿った見方も出ている。
安倍元首相と高橋元理事の関係は深い。高橋元理事の弟・高橋治則氏はリゾート開発を行なう不動産会社イ・アイ・イ・インターナショナルを率いて総資産1兆円超を築き、“環太平洋のリゾート王”と称されたが、政界では安倍氏の父・晋太郎氏との交友で知られた。
「弟の治則氏は晋太郎氏を支援しており、妻の洋子夫人が治則氏の所有するプライベートジェットで旅行したこともあるそうです。安倍家では1987年5月にホテルニューオータニで兄・寛信氏、6月に新高輪プリンスホテルで弟・晋三氏の結婚披露宴が行なわれましたが、いずれにも治則氏が招待されていた。家族ぐるみの関係だったのです」(ベテラン政治ジャーナリスト)
兄の治之氏もまた、電通にいながら弟の資金力を味方につけた。当時を知る元電通関係者は言う。
「バブル当時とはいえ、治之さんのカネ遣いはおよそサラリーマンのものとは思えませんでした。弟さんのプライベートジェットを乗り回し、治之さんの部署の人たちだけ、社員旅行の行く先が弟さんの開発していたタヒチ・ボラボラ島のリゾートだったりした」