新規感染者数が拡大する一方、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを「第7波」収束後に「2類相当」から見直す方向だ。世間でも「1度感染したからもう大丈夫」「ワクチンを打ったから、またかかっても軽症だろう」という空気が広がっている。が、そう弛緩してはならないようだ。
2020年1月に国内初の感染者が確認されて以来、新型コロナの累計の新規感染者数は約1300万人に達した。
ワクチンの3回目接種が進んだこともあり、感染を経験した人々の間には「また感染しても軽症ですむだろう」という空気も広がっている。
だが油断は禁物である。都内在住の男性(45)は、「2回目のほうがキツかった」と語る。
「昨年6月に初めて感染しましたが、今年3月に3回目のワクチンを打って安心していたんです。しかし5月中旬に喉がイガイガして念のため検査したら再び陽性でした。39度の熱が3時間ほど出て、解熱剤を飲んだら収まった1回目の感染と比べて、2回目は38度の高熱が数日続いた上、夜中に喘息の発作のような咳が出て焦りました。幸い悪化はしませんでしたが、正直、2回目のほうが症状はひどかった。2回感染後には、嗅覚が昔と比べて鈍感になった気がします。複数回感染した場合の後遺症の情報はまだ見当たらないですし、本当に大丈夫なのかなと不安があります」
今年4月に2回目の感染をしたお笑い芸人の東貴博(52)も自身のブログで〈前回は全くの無症状 今回は声枯れと微熱〉と2度目の症状のほうが重くなったことを報告している。
第7波の感染爆発により多くの人の再感染が現実味を帯びる中、医療関係者が注目する研究がアメリカで発表された。
米セントルイス・ワシントン大学のジャド・アルアリー博士らの研究チームが米退役軍人省の医療データベースを用いて分析したもので、コロナに1回だけ感染した約26万人、2回以上感染した約3万8000人の健康記録を未感染の約530万人のデータと比較した。
その結果は、コロナに2回以上感染した群は1回だけ感染した群と比べ、直近の感染から6か月以内に死亡するリスクが約2.1倍、入院するリスクが約3倍高くなった。さらに後遺症を抱えるリスクも約1.8倍高くなったという。