臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関わりが疑問視される自民党議員たちの「道義的責任」について。
* * *
連日、メディアで報じられている旧統一教会や関連団体と政治家の癒着問f題。野党では独自の個別調査が行われているというのに、与党自民党は議員ごとの調査を行わない方針らしい。きっかけとなったのは、かつて自民党総裁でもあった安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件だというのに、おかしな話である。道義的には真っ先に、党内調査を行うべきではなかったのだろうか。
茂木敏充幹事長は会見で「党としては組織的な関係がないことを確認している」「党と関係のある団体リストに旧統一教会だけでなく、関連団体の記載もなかった」と強調し、「個人の政治活動については、それぞれの議員が適切に説明を行うべきだ」と述べるに留まった。岸田文雄首相も「団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことが大事」と発言し、無責任だ、他人事のようだと批判を浴びた。
批判したくなる気持ちはよくわかる。自民党の大物といわれる国会議員たちの名前が次々と上がっているからだ。安倍元首相の実弟である岸信夫防衛相は選挙活動において、旧統一教会の関係者にボランティアで手伝ってもらったことがあるというし、銃撃事件後、安倍元首相の警護警備態勢について、警察庁に検証委員会の立ち上げを命じた二之湯智国家公安委員長は、教会の関連団体のイベントで実行委員長を務めていたことが発覚した。
細田博之衆院議長も関連団体のイベントでスピーチを行っていたし、下村博文安倍派会長代理が文科相の時には、それまで何年もの間、叶わなかったという団体の名称変更が行われ、統一教会は「世界平和統一家庭連合」に変更された。萩生田光一総務相に稲田朋美元政調会長をはじめ、安倍政権時代にメディアでよく見聞きした名前があがっていく。先日は伊藤忠一前参議院議長が、安倍元首相に旧統一教会の票を依頼したことを明らかにした。