更年期障害といえば女性特有のものというイメージが強かったが、近年では「男の更年期障害」に対する認知も高まってきている。順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科の辻村晃医師(医学博士)が語る。
「医学的には『加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群』と呼びます。原因は男性ホルモンの減少によってホルモンバランスが崩れること。個人差はありますが、男性ホルモンは20歳頃をピークに徐々に減少し、60代では20代の半分にまで減少するとされています。
また、仕事のストレスが原因でホルモン値が急激に下がり、症状が起きることもある。女性の更年期障害のように明確な線引きがあるわけではないですが、40、50代が最も多く、70、80代になってから症状が出るケースもあります」
辻村氏によれば、男性更年期障害の症状は3つに分けられる。
1つ目は意欲の低下、うつ、怒りっぽいといった精神・心理症状。2つ目は火照り、発汗異常、冷え、関節の痛み、不眠、筋力の衰えといった肉体的な症状である。
これらは女性の更年期障害とも共通するが、3つ目の症状は「男性特有」のものだ。
「『性機能』の低下です。性欲の低下に加えて、勃起力が衰えて射精がうまくできないといったED(勃起不全・勃起障害)の症状が現われます」(辻村氏)
芸能界でもヒロミ(57)や美川憲一(76)が更年期障害の症状に悩まされていたことを告白した。
「症状の出方は人それぞれです。じわじわと出てくると、単なる老化現象だと思い込んでなかなか気づかないケースもある。最近どうも怒りっぽくなったと妻に言われるとか、疲れが取れずに寝てばかりいるとか、本人ではなく家族が気づくケースも多いので、気になる方はかかりつけのクリニックを受診してみてください」(同前)
袋とじも開かなくなった
演出家でタレントのテリー伊藤(72)も更年期障害に悩んだ一人。その苦しみを振り返る。
「50代になってから、体に何か変化が起きていることを自覚するようになりました。ひどい頭痛や冷え性に悩まされ、体温調節がうまくできないからか、寒さと暑さがわからない。以前、夏場はTシャツ1枚で過ごしていたけど、寒さを感じて長袖を着るようになった。
トイレが近くて夜中に何度も起きるようになり、長時間のフライトを避けるように。新幹線に乗るのも映画館に行くのも嫌で、映画を観る楽しさよりも、トイレに行きたくなるしんどさが勝るんですよ(苦笑)。
そして何より衝撃だったのは、雑誌のグラビアページを見ても心がときめかなくて、袋とじを開かなくなったこと。下半身に元気がなくなってしまったんです」