女子ゴルフの今季メジャー最終戦の全英女子オープン(英・ミュアフィールド・リンクス)で、最後まで優勝争いに絡んだものの1打及ばす3位でフィニッシュした渋野日向子(23)。日本人初となるメジャー2勝目を惜しくも逃した。プレーオフに進出したアシュリー・ブハイ(南アフリカ)の夫を見つけて笑顔でエールを送る姿が大会公式ツイッターから拡散されるなど、“スマイルシンデレラ”が戻ってきた印象だが、直前までは不調に苦しんでいた。渋野の「好不調の波」の原因が議論の的となっている。
渋野が前回、優勝した2019年の全英女子オープンでも、最終日に同じ最終組で回ったのがアシュリー・ブハイだった。奇しくも2年前と同じ組み合わせでのラウンドとなったが、渋野の「スイング」は2年前とは大きく変わっている。
トップを極端に浅く、低くし、スイングプレーンをフラットにしている。世界のトッププロが集まったメジャーで見渡しても、異色のスイングだった。ゴルフ誌記者はこう言う。
「2020年の全英女子オープンでは、前年優勝者として出場したが予選落ち。その後、転戦した米女子ツアーでも成績を残せなかった。同年末には、青木翔コーチとの契約を解除。世界を目指すスイングに変えていくという目的があったとされ、独学で改造をスタートさせた。石川遼などにもアドバイスを受け、“スイングの再現と精度”を求めて行き着いたのが低いトップのスイングでした」
渋野のスイング改造については賛否がある。今年3月末から4月にかけては米女子メジャーのシェブロン選手権で4位、続くロッテ選手権で2位という結果を残したものの、4月末からは日米ツアーで8戦のうち予選を通過したのは1試合(予選落ち6試合、棄権1試合)だけ。全英女子オープン前は不調に苦しんでいたのだ。
全英でも初日は6アンダーで首位スタートしながら、2日目で7位タイに後退し、3日目に再び2位タイに浮上。安定しないために「ジェットコースターゴルフ」とも呼ばれる。
全英女子オープンの最終日のテレビ中継でゴルフキャスターの戸張捷氏が「(トップの高さについて)第三者から賛否あって、いろいろ言われたが、自分を信じて変えていった。外の影響をほとんど受けなかった」と解説すると、解説を務める樋口久子プロ(元JLPGA会長)がこのように話を引き継いだ。
「2019年にメジャー(全英女子オープン)で優勝しているわけですから、すぐにスイング改造するのはどうかと思う。やはり様子を見て、何年か経って壁に当たったりすればちょっと考えるのがいい。極端なものですからね。バックスイングのトップの位置が肩より下にあります。練習でここまで来ていると思う。彼女の努力で……」