有村架純と中村倫也のダブル主演でパラリーガルと弁護士の活躍を描く『石子と羽男』(TBS系、毎週金曜夜10時〜)。ドラマオタクのエッセイスト・小林久乃氏は、今をときめく若手実力派俳優二人の間にしれっと登場する、ドラマ出演歴の浅い“おじさん新人俳優”に注目しているという。小林氏が綴る。
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“バイプレイヤー”は作品にとって必要不可欠な存在だ。たったひとりでは、どんな作品も成立することはないが、うっかりすると主演者以上に、作品の話題をかっさらっていくことがある。視聴者としては、気になった“バイプレイヤー”が、少しずつ成長していく様子を目にするのも、楽しかったりする。
そんな思いのもと、最近ドラマ出演者で気になるお笑い芸人がいる。おいでやす小田さんだ。ややしゃがれた声、絶妙なタイミングでの登場。地上波テレビドラマ4作品めの出演とは、思えない。なんだろう、あの堂々とした新人俳優のおじさんは。
主演ふたりの間にさり気なく、かつ印象強く
小田さんが現在出演している連続ドラマは『石子と羽男—そんなコトで訴えます?—(以下『石子と羽男』)。弁護士・羽根岡佳男(中村倫也)と、パラリーガル・石田硝子(有村架純)によるリーガル・エンターテインメントだ。
硝子の父親が営む弱小弁護士事務所に、弁護士として勤務することになった羽根岡。驚異的な記憶力を活かして司法試験に合格するものの、法曹界では理想の弁護士として活躍できていない。それよりもセルフブランディングに興味津々の、チャラ男系。羽根岡のサポートするのが、司法試験の受験回数(5回まで)のリミットが近づいている硝子。“クソ”とつけたくなるほど真面目である。
このドラマ、この二人の小気味良い掛け合いが面白い……というのは演者の名前を聞いただけでもわかる。本作以外にも男女バディの法律ドラマは数多く放送されている。例えば2シーズン放送されていた『リーガル・ハイ』(フジテレビ系・2012年〜)。金のためならどんな弁護策もいとわない、負け知らずの弁護士・古美門研介(堺雅人)と、正義感にあふれたパラリーガル・黛真知子(新垣結衣)。この凸凹コンビも痛快だった。
今回の石子と羽男もかなりの凸凹ぶりではあるけれど、毎回どこかで互いに自分の本音を見せるシーンがある。「あれ、このふたりひょっとして……」と、いやらしい想像をしそうに。で、この二人の間に好タイミングで入って、邪魔をしてくるのが、おいでやす小田さん演じる塩崎啓介なのだ。