ビジネス

鉄道駅に設置されてきた貴賓室 記録されぬまま廃止になるケースも

バックヤードツアーで貴賓室が公開される予定の東武浅草駅(写真:小川裕夫)

バックヤードツアーで貴賓室が公開される予定の東武浅草駅(写真:小川裕夫)

 関係者以外は立ち入り禁止の区域を特別に見学できるバックヤードツアーが鉄道各社で開催されている。それらのなかに「初公開」される貴賓室の存在がある。近ごろは、豪華列車の旅の前に利用する「駅ラウンジ」などもあるが、それとは異なり、海外からの来賓や要人、皇族が利用するためにつくられた知られざる駅の「貴賓室」の存在について、ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 コロナ禍も3年目となった2022年のゴールデンウィークは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった行政による行動制限は行われなかった。しかし、夏からコロナの新規感染者が増加し、再び各種業界は第7波という危機に直面している。今後、利用者を増やすには新たな需要を創出するためにあれこれと知恵を絞る。鉄道各社や旅行代理店などは、バックヤードツアーという新たな鉱脈を見出した。

 普段、関係者でなければ足を踏み入れることができないバックヤードを行程に組み込んだツアーは、どれも盛況となっている。そのため、鉄道各社と旅行代理店は第2弾、第3弾といった具合に、次々とバックヤードを打ち出す。

 東武鉄道は10月18日を皮切りに、来年の2月10日まで断続的にバックヤードツアーを開催する。

「同ツアーは営業前の東武博物館を貸し切りにして参加者に満喫してもらうほか、東武浅草駅で構内放送やホーム上でのマジックハンド使用といった普段ではできない体験もツアーに組み込んでいます。また、東武浅草駅には貴賓室があるのですが、これまでは一般公開していませんでした。今回のツアーでは、この貴賓室を外から見学できます」と話すのは、東武鉄道広報部の担当者だ。

 貴賓室とは天皇皇后両陛下や皇族、政府高官、海外からの賓客といった要人を接遇する目的で設けられた特別な部屋を指す。貴賓室は県庁や空港、国立競技場といった施設にも設けられ、鉄道だけの施設とは限らない。しかし、鉄道の貴賓室は乗車の際に待合室として、また到着後は休憩室として役割を果たす。そうした背景も手伝い、全国各地の駅に貴賓室が設けられた。

 明治期から鉄道駅に貴賓室はつくられていることから、その歴史は古い。学術的な研究分野としても取り組まれてきた。しかし、高度なセキリティに関連する部分のため、これまで貴賓室に関する情報は公開されず、学術的な研究も進んでいるとは言い難い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン