〈私、渡部秀規は、吉羽美華に以下を宣誓し、念書として記録するものである〉〈1. 愛情を無垢に与える〉〈2. 愛情を持って、金銭だけでなく、心身ともに幸せにする〉〈10. 双方に、常に素直になり、あまのじゃくにならず、やきもちも表現する〉──なんとも甘酸っぱいフレーズが並ぶ4枚の紙がある。〈宣誓書 兼 念書〉と題され、40条にも及ぶ取り決めが並ぶ。〈宣誓者〉は渡部秀規、〈受任者〉は吉羽美華。この2人は今月、詐欺容疑で逮捕され、「美しすぎる市議による詐欺事件」として世間を騒がせている当事者たちだ。
大阪府寝屋川市議の吉羽容疑者(42)と無職の渡部容疑者(48)ら男女5人はコロナ禍で経営が悪化した医療・福祉施設に対し、独立行政法人「福祉医療機構(WAM)」が資金を融資する制度の仲介を装い、「手数料」の名目で5940万円を詐取した疑いが持たれている。同様の被害にあったとの声は多く、警察は余罪を捜査中で、総額10数億円になる可能性もあると見て調べを進めている。
吉羽容疑者は2007年に寝屋川市議に初当選。2選後は国政に挑戦し、2012年には当時の民主党で衆院選、2013年には新党大地で参院選、2017年には希望の党から衆院選に出馬するものの、いずれも落選。2019年に寝屋川市議選に再挑戦し当選、市議として再スタートを切っていた。過去には写真集も発売していて、「美人すぎる議員」として話題にもなった。
吉羽容疑者らが関係した疑惑については昨年から情報が寄せられており、NEWSポストセブンでも取材を進めていた。今回、吉羽、渡部両容疑者の2人と直接返金について交渉していた関係者から話を聞くことができた。
「2020年夏、知人の医療機関経営者が吉羽、渡部のいう『WAMの融資金は返す必要がない』という話を信じてしまい、お金を渡してしまっていました。相談を受け、2人に渡した手数料を取り返そうと個人的に動いていました。
渡部は接触が難しかったが、ある日を境にして渡部と仲違いした吉羽とは定期的に連絡をとれるようになり、返金の交渉を続けていました。吉羽は『自分も(渡部容疑者から)手数料をもらっていなくて困っている』などと不満を口にしていた。本当にそう思っていたのかはわかりませんが、吉羽は『私も被害者』だというように渡部への不満を漏らしていました」