千葉氏は村野工業での「再出発」となった(筆者撮影)

千葉氏は村野工業での「再出発」となった(筆者撮影)

横浜とPL学園「なるほど通じる部分が多い」

 東大阪大柏原に敗れた試合後、最後の部員たちが「千葉先生についてきて良かった」と口にしていた姿を思い出す。頼る大人のいない62期生にとって、千葉氏は唯一信頼の置ける兄貴分だった。

 硬式野球部が事実上、廃部となったあと、千葉氏は2017年4月からPL学園中学の軟式野球部監督就任を命じられた。

「若かった自分が言うのはおこがましいですが、どうして高校の硬式野球部の監督はダメで、中学軟式の監督ならOKなのか。そうした気持ちがなかったわけではありません。大阪桐蔭と張り合っていた高校とは違い、中学軟式は決して、野球の上手な子が集まるわけではなかった。それでも野球の指導が続けられただけ幸せでした」

 2年後の2019年春、PL学園OBの仲介によって、神戸村野工業に職場を移した。硬式野球部のコーチとして指導を開始。この頃、ようやく私は千葉氏と連絡を取るようになっていた。

 そして、7月14日に村野工業の新監督に平田氏が就任する報道を受け、再び、千葉氏に連絡を入れたのだ。

「私は関東の大学で野球を続けましたから、横浜の情報というのは入ってきていました。一緒に指導するようになって、なるほどPLと通じる部分も多いなと思います。PLは圧倒的な打のイメージがあるかもしれませんが、根本の部分は守り勝つ野球です。平田監督が掲げる強化の三本柱に共感し、私も指導していこうと思っています」

 三本柱について、平田氏が補足する。

「一本目の柱は『バッテリーを中心とした守備』。二本目の柱は『チームバッティングと走塁』です。このふたつが鍛えられれば『負けない野球』、つまり1対0で勝つ野球ができる。しかし、このふたつだけでは甲子園では勝てません。そこで、三本目の柱が大事になる。『打つ』という、つまり打力です。しかし、古豪復活を目指して取り組む優先順位は一本目と二本目の柱です。このふたつの柱を太く地に根付かせないと、安定した力は発揮できませんし、自分たちよりも力の劣るチームにも取りこぼしてしまうんです」

 甲子園の常連校に──。来春から「彩星工科」と校名変更となる村野工業から、平田氏と千葉氏はそんな厳命を受けている。野球部には横浜とPLの新しい血が取り入れられ、古豪復活の第一歩を踏み出した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン