ワクチンは海外メーカーに投じた費用ばかりではない。政府は「国産ワクチンの研究開発支援」として700億円を計上し、塩野義製薬やアンジェス、KMバイオロジクスなどに多額の資金が提供された。「補助金の使途や企業選定の基準が不明確では」と指摘するのは五十嵐さんだ。
「パンデミック初期に選択肢を増やすことは妥当な戦略ですが、いつ国産ワクチンが完成するのかは未定のままです。『メイドインジャパン』を過信せず、医薬品の開発能力を冷静に判断する必要があります」(五十嵐さん)
小島さんも手厳しい。
「そもそも有望な研究を見抜く“目利き”が研究費を配分する側におらず、開発支援のお金がどのように使われたかの検証もありません。しかも国産ワクチンが完成したときにはすでにワクチンを積極的に接種しないフェーズになっていて、多額の研究開発支援が無駄遣いになるかもしれません」(小島さん)
ほかにもコスパの悪いコロナ対策は枚挙にいとまがない。
「感染が拡大しても保健所が隅から隅まで濃厚接触者の調査をするのは効果が少なく、無駄な出費です。厚労省がつくった接触確認アプリの『COCOA』や感染者管理の『HER-SYS』はコスパが悪いどころか、まったく使い物にならなかった。日本の役所はお金を配ることが目的化して、机上の空論ばかりで費用対効果を考えません。もっと直接的に患者を助けることに予算を投入していくべきです」(上さん)
その最たるものが、いつまでも続くワクチンの接種かもしれない。小島さんはワクチンを盲信してお金をかけまくるのではなく、あくまで科学的な検討をすることを求める。
「ワクチンや抗ウイルス薬のない時代に猛威をふるったスペイン風邪は3年で収束しましたが、今回のパンデミックは2年半経った現在も終わりが見えません。しかもワクチン接種率が高い国ほど感染者が多いことを考えると、ワクチンが感染まん延を招く可能性がある。この先も変異するウイルスにどのような対策が必要なのか、費用対効果の観点から科学的な検討を始めるべきです」(小島さん)
コロナで多くを学んだいまだからこそ、コスパをタブー視せず、効率的なコロナ対策を講じる必要がある。
※女性セブン2022年9月1日号