地方局にはキャリアップを実現した注目アナが多くいるようだ。読売テレビの西山耕平アナウンサー(38歳)は『ミヤネ屋』で宮根誠司氏の代打でMCを務め、注目を集めている。コラムニストで放送作家の山田美保子さんが西山アナの魅力について綴る。
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女性アナウンサーのみならず、男性アナウンサーのセカンドキャリアが話題になっている昨今。かつては広報や営業など他部署への辞令が出たのをきっかけに退社を決め、フリーアナウンサーとなるケースが多かった印象だが、最近は、喋り手にはこだわらない転職が目立っている。
だが、それは在京キー局だけの話。地方局のアナウンサーの場合は、男性も女性も、アナウンサーの肩書をもったまま、他局に移ったり、フリーになったりする人が多いように思う。在京局や準キー局の試験に落ちたり、局の事情で閑職に追いやられたりしたとき、「自分は、こんなところで終わる人間ではない」と考えるタイプは地方局に多いと私は見ている。
東京よりも、喋り手として残るチャンスも多いように思う。地方局には、“派遣”のアナウンサーもいれば、2~3年契約のアナウンサーも少なくない。因って、実は中途採用の公募も、けっこう出ているのだ。
それは在京局でも起こり得る。「東京オリンピック2020」開催にあたり、スポーツ担当のアナウンサーが足りず、TBSが募集をかけ、NHKからやってきたのは南波雅俊アナだ。NHKでは、岡山放送局、大分放送局、広島放送局に勤務。TBS入社後はバラエティ番組で披露するB’zの完コピでも知られる南波アナだが、スポーツアナウンサーとしてのスキルは非常に高く、スポーツ中継のみならず、『炎の体育会TV』の各実況も不定期で担当している
ちなみにNHKには“キャスター職”というのがあって、そこからスタートして他局の中途採用で“常駐”になる女性アナウンサーがいる。
他にも、全国のアナウンサー採用情報が集まるアナウンススクールに卒業生=地方局のアナウンサーが相談に行き、同じく情報を求めに来た別の局担当者との“お見合い”が成立し、引き抜かれるケースもあると聞いた。
新卒では金融機関に就職
8月15日~19日、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ・日本テレビ系)で、宮根誠司氏の代打でMCを務めたのは西山耕平アナウンサー。お会いしたことはないが、西山アナのキャリアからは、喋り手への強い想いやこだわりを感じてしまう。
2008年、立命館大学卒業後、新卒で入ったのは金融機関。2010年7月より長崎文化放送にアナウンサーとして入社し、報道記者も兼務していたそうだ。
ちなみに、男性アナウンサーで報道記者もしているというのは、他局でもよくある話。女性の場合だと、アナウンス試験に落ちた学生に「報道記者はどうか」と局側が誘う場合もある。在京局にルックス抜群で喋りも達者な女性記者が多いのはそのせいかもしれない。
西山アナは2018年、長崎文化放送から読売テレビに移籍。2022年度よりアナウンス部の所属となった。
今春、『~ミヤネ屋』で木曜日の天気予報を担当している「セント・フォース」所属の奈良岡希実子気象予報士が結婚を発表し、その相手が西山アナで、宮根氏から思いっきりツッコまれた際は、「『ミヤネ屋』のディレクター」と紹介されていたと記憶する。が、このときは既にアナウンス部。しかも宮根氏の夏休みに代打を務めることになるとは大出世だ。