戦後77年が過ぎ、日本人の健康状態は飛躍的に向上した。それを端的に示すのが平均寿命だ。戦後間もない1947年時点では日本人男性の平均寿命は50.06歳だったが、2021年には81.4歳と、30年以上延びた(女性は87.5歳)。
その寿命は今、医療技術の進歩などによってさらに延び、「人生100年時代」ともいわれる。しかし、ここで新たな問題が生じてきている。
東京大学医学部附属病院特任教授の中川恵一医師が言う。
「今問題になっているのは、平均寿命と健康寿命の差です。その差は女性が約12年間、男性が約9年間と大きい。これまで日本では生存期間を延ばすことを重視する傾向がありました。しかし欧米では基本的にQOL(生活の質)を重視し、(延命措置としての)胃瘻などは行ないません。QOLを左右するのは健康寿命と言えるからです」(以下、「」内同)
日本人男性がいま自立して暮らせる健康寿命は72.68歳だが、人生100年時代となればそれを20年、30年と延ばしていく必要があるのだ。
治療や介護が必要になってからの長期間、辛い思いをして晩年を過ごすケースは少なくない。なかでも多いのが、日本人の2人に1人が罹患する「がん」との闘いだ。
日本では罹患者とともに、がんによる死亡も増加し続けている。がん死亡数は右肩上がりを続け、2000年の29万5484人(全部位、男女計)が、2020年には37万8385人(同)に増えた(国立がん研究センター運営のサイト「がん情報サービス」より)。
がんは再発リスクが高いほか、治療に用いられる抗がん剤や放射線は副作用による身体的負担も大きい。つまり“がんにならない期間”が長いほど健康寿命を長く保つことができる。がん専門医の中川医師の監修のもと、そのための20の生活習慣を別表に示した。