「まわりのすごく大切な人や愛している人に“こうしてあげたい”って、相手がつらかったら“こうしてあげたいな”という気持ちを、考えていったら、こういう歌詞になりました」
そう語りかけ、ブルーの幻想的な光に包まれたステージで宇多田ヒカル(39才)は最新曲「BADモード」を歌い始めた。8月6日に放送された『ライブ・エール』(NHK)でのワンシーンだ。
昭和の時代から8月に放送されるNHKのこの大型歌番組は、“夏の紅白”と言われてきた。名称は2020年から『ライブ・エール』に。同年出演したアーティストは24組。そのうち18組が、その年の大晦日の『紅白歌合戦』に出演した。昨年も16組中10組が、年の瀬の風物詩で歌声を披露した。
それだけに期待が膨らむのが、宇多田の紅白出演だ。
長年、宇多田は活動の拠点をロンドンに構えている。だがこの夏は、7月24日に表参道のライブハウスで開かれたラグジュアリーブランドのイベントに電撃出演。その後、前述の『ライブ・エール』、8月22日には『SONGS OF TOKYO』(NHK)にも出演。
NHKにとって、宇多田のNHKホールでの“生歌披露”は長年の悲願だという。
「1999年の『AUTOMATIC』でのデビュー以降、NHKは何度も出演交渉を重ねてきました。しかし、実現したのは2016年に連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌である『花束を君に』を披露したときだけです」(NHK関係者)
しかしその際も、ロンドンのスタジオからの中継だった。
「若者の紅白離れが進むなか、NHKは演歌を減らしたり、朝ドラとのコラボ企画を取り入れたりと、試行錯誤をしています。今回の『ライブエール』でも彼女は“生歌唱”ではなかったと見られています。多くの世代から支持される彼女がNHKホールで生歌を披露するとなれば、大きな目玉となるでしょう」(前出・NHK関係者)
宇多田が今年、日本での活動に力を入れるのには、家族の事情もあるのかもしれない。
「長年、彼女のプロデューサーをつとめてきた父・照實さんの体調が思わしくない。宇多田さんも心配しているし、闘病を近くで支えたいという思いも持っていらっしゃるはず。二人三脚で歩んできたお父さんのために、今年は“特別な年末”を迎えたいと考えているのかも知れません」(芸能関係者)
歌姫の凱旋を多くのファンが待っている。