国内

とまらぬ気温上昇でどうなる? 花見や紅葉は楽しめず、国産の鮭やイクラ消滅の可能性

温暖化でどうなるのか(写真は北極海・ノルウェーの氷河。2022年7月。Getty Images)

ノルウェーの北極海にある氷も溶けている(2022年7月。Getty Images)

 世界各国で体温を超える暑さが続いている。しかし、それはまだ序章に過ぎない。あと30年もすれば、気温50℃が当たり前になる日常がやって来るかもしれないのだ。それだけではない。地球温暖化による海面の上昇で国土が消滅する国や、水の争奪戦で隣国といがみ合う国が出てくる可能性も決して低くない。地球が炎熱に覆われる未来はそう遠くない──。

『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)の著書がある気象予報士の森さやかさんが話す。

「欧州では今年、何度も熱波が襲っている。イギリスはこれまで高くても38℃台だったところ、いきなり史上初めて40℃を超えました。フランスもイタリアも記録的な大干ばつに見舞われています。ただ、日本列島は海に囲まれているため気温上昇は欧州までいかない。

 ただし、日本は湿度が高く、100年後には米気象局の計算式による体感温度が東京でも50℃に達する恐れがある。この体感温度は4段階のうちもっとも高い危険レベルで、熱中症が高確率で起こる段階です」

 気象庁の観測は芝生の上、1.5mが標準だ。最高気温が40℃を超えた場合、都心のアスファルト上など照り返しの強い場所では50℃近くになるところも珍しくないとされる。いずれにしても近いうち、私たちの体を50℃の熱風が襲うのは間違いなさそうだ。そうなれば、うつりゆく現在の四季も変わってしまう。地球物理学者の島村英紀さんが解説する。

「温暖化により、世界中でデング熱やマラリアなど蚊が媒介する伝染病のリスクがある場所の北限が上がっています。蚊は最も人を殺している生き物といわれ、温暖化で暖冬になると一年中生息できるようになり、日本でもデング熱やマラリアなどが流行し、命を落とす可能性も出てきます」

 森さやかさんが続ける。

「デング熱などの感染症を媒介するヒトスジシマカという種類の蚊は本州が北限でしたが、近いうち北海道に生息域を広げる可能性が指摘されています」

 そのほか、青森でりんごが育たなくなり、暖かい土地で取れるみかんの産地になってしまうなど農作物の変化も予測されている。

「フランスではぶどうから作るワインの味にも影響があります。寒冷地でできたぶどうは酸味が入っていいバランスになりますが、現在のフランスワインは温暖地の甘いテイストになりつつあるといわれています。酸味を求めて、ぶどうの栽培適地がもっと北上するかもしれません」(森さやかさん・以下同)

関連キーワード

関連記事

トピックス

アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
TikTokをはじめとしたSNSで生まれた「横揺れダンス」が流行中(TikTokより/右の写真はサンプルです)
「『外でやるな』と怒ったらマンションでドタバタ…」“横揺れダンス”ブームに小学校教員と保護者が本音《ピチピチパンツで飛び跳ねる》
NEWSポストセブン
復帰会見をおこなった美川憲一
《車イス姿でリハビリに励み…》歌手・美川憲一、直近で個人事務所の役員に招き入れていた「2人の男性」復帰会見で“終活”にも言及して
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
複座型ステルス戦闘機J-20 米国のF-35に対抗するために開発された。第5世代ステルス戦闘機(写真=Xinhua/ABACA/共同通信イメージズ)
【中国人民解放軍「最新兵器」】台湾侵攻や海上封鎖を想定した軍事演習も 就役直後の最新空母、ステルス戦闘機から“犬型ロボット”まで、性能を詳細に分析
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相の「官僚不信」と霞が関の警戒 総務大臣時代の次官更迭での「キツネ憑きのようで怖かった」の逸話から囁かれる懸念
週刊ポスト
喫煙所が撤去されてホッとしていたのだが(写真提供/イメージマート)
《規制強化の動き》加熱式タバコユーザーのマナー問題 注意しても「におわないからいいじゃん」と開き直る人、タクシー車内で喫煙する人も
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン