DeNAが強い。8月21日の広島戦で3-0と快勝し、本拠地・横浜スタジアムで17連勝。貯金を今季最多の9に伸ばし、最大17.5ゲーム差をつけられていた首位・ヤクルトに4ゲーム差に迫った。
DeNAを取材するスポーツ紙記者は快進撃の要因について、こう分析する。
「一過性の勢いだけではない。投打ががっちりかみ合って大人の野球ができるようになりました。特に投手陣が安定しているのは大きいですね。先発、救援がしっかりしているので試合の主導権を握ることができる。試合の消化数が他球団より少ないこともあり、376得点はリーグ5位ですが、打線も昨年までとは違う。機動力や進塁打を重視し、少ない安打でも得点を取れるようになった。これは今季から復帰した石井琢朗野手総合コーチの功績が大きいでしょう。個々の能力を引き出す指導力が高く、アウトになっても結果論で責めたりしない。選手から絶大な信頼が寄せられています」
石井野手総合コーチは現役時代に横浜(現DeNA)で不動のリードオフマンとして活躍し、1998年のリーグ優勝、日本一に大きく貢献。2006年にプロ通算2000安打を達成した。2008年オフに退団し、広島で5年間プレーして2013年から指導者人生がスタート。広島のコーチとしては丸佳浩(現巨人)、鈴木誠也(現カブス)ら主力選手を育てたことで知られ、黄金時代の構築をサポートした。2018年から2年間はヤクルトで村上宗隆、塩見泰隆を指導。2020年から巨人の1軍野手総合コーチに就任したが、昨年のシーズン途中に3軍野手コーチに配置転換されて大きな波紋を呼んだ。同年限りで退団し、今年DeNAに14年ぶりに復帰した。
最下位・中日に1.5ゲーム差まで迫られて低迷する巨人とは対照的に、昨年最下位に沈んだDeNAは逆転優勝を狙える位置につけている。昨オフに日本ハムを「ノンテンダー」となった大田泰示、楽天の戦力構想から外れたベテラン・藤田一也が加入したが、派手な戦力補強をしたわけではない。