現オーナーによる球団売却表明で揺れるエンゼルスだが、大谷翔平(28)は「二刀流」で、異次元の活躍を続けている。打者として今シーズンはホームラン27本(8月25日時点。以下同)を放っているが、よりすさまじいのは投手としての成績ではないだろうか。2021年は9勝と惜しくも2桁勝利に届かなかったが、今シーズンはベーブ・ルース以来104年ぶりとなる「2桁勝利&2桁本塁打」を達成。奪三振数は167個でア・リーグ5位につけている。今季の投手・大谷の凄みはどこにあるのか。ヤクルトのエースとして活躍し、1998年に沢村賞と最多勝(17勝)を受賞した川崎憲次郎氏が語った。
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今季の大谷君のピッチングは、文句の付けようがありません。とにかく腕がよく振れています。その要因として2018年オフにトミー・ジョン手術、2019年に左膝蓋骨の手術をした時の心配や痛みが少なくなったことが大きいのではないでしょうか。
僕も肘を手術した経験がありますが、術後は投げることはできても1年ぐらいは投球時に痛みがありました。手術から年数が経ち、投げても大丈夫だという安心感が昨季よりも高まったから、今の成績に繋がっているんじゃないですかね。思い切って腕が振れているので、変化球の曲がり方や落ち方も鋭くなっている。それにボールへの最後の一押しができているので、バッターの手元で球が曲がりやすい。今季は大谷君の本来のピッチングができていると思います。
大谷君は160kmを超える直球と高速スプリットの組み立てをメインにして空振りを奪うピッチャーです。それに加え、曲がりが鋭くなったスライダーが武器になってきたため、バッターは絞り切れない。どれでも勝負球になる。そこが並みのピッチャーと違うところですね。