“第7波”によって日本の新型コロナウイルスの新規感染者数は激増して世界最多となっている。しかし、その一方で感染拡大や重症化を防ぐためのワクチン接種率もまた最も高い国の1つだ。
4回目どころか秋には5回目接種が始まり、政府は7回目までワクチンを購入済みとの報道もある。にもかかわらずなぜ感染拡大は続くのか、このまま打ち続けることでリスクは生じないのか──ワクチンの大規模接種が始まって1年が経過したいま、最前線の現場で医療にあたってきた勤務医たちが集まり、ジャーナリスト・鳥集徹氏の司会のもと、本音で語った。【全3回の第3回。第1回から読む】
【座談会参加者】
A男さん:リウマチ・膠原病が専門の内科医。関東の大学病院に勤務する。外来患者や入院患者の診察、治療にあたっている。
B子さん:総合内科医。中部地方の総合病院に勤務する。主に入院患者を対象に診察や治療にあたっている。
C夫さん:総合内科医。関東の総合病院に勤務する。外来患者を中心に、急性期の患者の診察や治療にもあたっている。
D介さん:感染症が専門の内科医。関東の大学病院に勤務する。病院内の感染制御業務に加え、外来患者や入院患者の診察、治療にあたっている。
※今回の座談会に参加した医師はいずれも病院に勤務して診察や治療にあたっている。4人のなかには、ツイッターアカウント「勤務医団の本音」に参加して情報発信を行う医師もいる。対談は8月上旬に都内某所にて行われた。
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A男:医療者に限らず、ワクチンはあくまで任意接種。打つ、打たないは誰もが自分で決めるべきなのですが、日本は同調圧力が強すぎます。
B子:マスコミの影響も大きい。若い世代はテレビや新聞の情報に疑問を持っている人が少なくありませんが、高齢者はいまだにすごく信頼している。うちは地方の病院で高齢の患者が多いのですが、皆さんワクチンに疑問を持つことなく、「4回目はいつ打てますか」と聞いてきます。
C夫:テレビも新聞も、ワクチンは正しいという考え方以外は一切認めていない。本来科学は少数派の意見にも耳を傾けつつ、多様な疑問に答えられるような仮説を立て、みんなで吟味していくもの。しかし異論にことごとく「反ワクチン」「陰謀論」というレッテルを貼って、退けようとする人が目立ちますよね。
B子:私の周囲ではワクチンの副反応や後遺症の話題がタブーになっていて、医師ですら接種に疑問を持っている人がほとんどいません。患者の病気の原因として「ワクチンの関与もあるのではないか」と言っても、「そんなはずはない」と一笑に付されてしまう。だから今日は皆さんが現状に疑問を持っていることを知って、安心しました。
A男:マスコミの影響もそうですが、ぼくが日本のコロナ対策における最大のミスだと思っているのは、“欧米かぶれ”の医師たちを持ち上げてしまったこと。アメリカに留学していたり、向こうで医師をやっている人たちが「欧米と比較して日本のワクチン事業は遅れている」と喧伝した。
D介:そもそも感染が拡大した欧米と違って、初期の日本の感染者数は何十分の一だった。“別の病気”といっていいぐらいでしたよね。それなのに、欧米基準で危機を煽り、過剰な対策を進めた感染症専門医たちの罪は深い。